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「復讐するは我にあり」(1979)

【DVD発売中】

76点76
直木賞を受賞した佐木隆三のノンフィクション小説を原作として、「神々の深き欲望」以来10年ぶりに今村昌平が手掛けたドラマ。原作が話題の作品だけに何度も映画化の話がもち上がり、黒木和雄はじめ何人もの監督が立候補。映画化権を射止めた今村昌平が満を持して演出し、高い評価を得た。5人を殺害したあと全国を逃走した男とその父の相剋を通して、人間の原罪と救済を問う物語で、犯罪心理がカミュの「異邦人」のような不条理なものとして描かれている。検閲によってカットされたシーンが多く、難解な印象を与えるが、ダイナミックな画面と緒形、三國のパワフルな共演は圧倒的。父子対面シーンは鬼気迫る演技。

あらすじ

日豊本線築橋駅近くで専売公社のタバコ集金に回っていた柴田種次郎、馬場大八の惨殺死体が発見され、現金四十一万円余が奪われていた。かつてタバコ配給に従事した運転手榎津厳が容疑者として浮かんだ。榎津は駅裏のバー「麻里」のママ千代子を強姦、アパートに連れこんで関係を強要し続けるなど、捜査員の聞き込んだ評判も悪い。二ヵ月前までは、ヌードダンサー上りで「金比羅食堂」をやっていた吉里幸子と同棲、母子家庭をガタガタにもした。数日後、宇高連絡船甲板に幸子と両親宛ての榎津の遺書と、一足のクツが見つかり、投身自殺の形跡があった。偽装と疑った警官が別府市・鉄論で旅館を営む榎津の実家を訪れると、老父鎮雄、病身の母かよ、妻加津子は泣きながら捜査の協力を誓う。一家は熱心なカトリック信者だが、戦争中、厳は、網元をしていた父が軍人に殴られ、無理矢理、舟を軍に供出させられた屈辱の現場を目撃して、神と父への信仰を失い、預けられた神学校で盗みを働いて少年刑務所へ送られ、その後も犯罪と服役を繰り返しその間に加津子と結婚した。結婚後、加津子も入信したが、榎津に愛想をつかし離婚、その後、尊敬する義父の懇望に従って再入籍。榎津は出所する度に父と加津子との仲を疑い、父に斧を振り上げるなど、一家の地獄は続いた。浜松に現われた榎津は貸席「あさの」に腰をすえ、大学教授と称して静岡大などに出没、警察をあざ笑うような行為を重ねる。千葉に飛んだ榎津は裁判所、弁護士会館を舞台に、老婆から息子の保釈金をだまし取り、知り合った河島老弁護士を殺して金品を奪った。この頃になると警察史上、最大といわれる捜査網が張りめぐらされ、浜松に戻った榎津の素姓に「あさの」の女あるじハルやその母のひさ乃も気づき始めた。しかし、榎津に抱かれるハルは「あんたの子を生みたい!」とその関係に溺れ、元殺人犯で競艇狂いのひさ乃も榎津を逃そうとする。だが、そんな母娘を榎津は絞め殺し、「あさの」の家財を売り飛ばし、電話まで入質して逃亡資金を貯え、七十八日後、九州で捕まるまで詐欺と女関係を繰り返した。絞首台に上がる直前、最後の面会に来た父に榎津は「おやじ……加津子を抱いてやれ……。人殺しをするならあんたを殺すべきだった」と毒づく。残された一家にも思い葛藤があった。死の床にある母は「私も女じゃけえ、お父さんを加津子に渡しとうなか」といい続けた。父も地獄のような家を守ってきた嫁が心底かわいく、信仰とのはざまに悩みぬく。そんな義父を加津子は無性に好きだった。榎津の処刑後、別府湾を望む丘に、骨壷から、榎津の骨片を空に向って投げる、鎮雄と加津子の姿があった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1979年
製作国 日本
配給 松竹=今村プロ
上映時間 140
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