閉じるボタン

「幕末太陽傳」(1957)

【DVD発売中】

80点80
川島雄三の代表作。元ネタになるのは落語の『居残り佐平次』だが、これに『芝浜の革財布』『品川心中』のネタを取り入れている。あと5年で明治維新という、文久2年の11月、品川の遊廓街で、佐平次は仲間を連れて大尽遊び。ところが、金は一文も持っていない。かくして佐平次は居残りとなって、しばらくそこに腰を落ち着けることになる。宿にはもう一組居残り組がいる。高杉晋作を中心とする勤皇の志士たちである。佐平次は、この高杉と仲良くなったり、廓の仕事を要領よくこなし、たちまち廓の人気者となる。映画はこれらの人物を絡ませ、佐平次のバイタリティーをテンポよく活写していく。佐平次は胸を患っており、時折、咳き込みながら見せる暗い顔には死の匂いが漂っていて、そうしたニヒリズムがバイタリティーの裏に見え隠れし、川島の体質を体現した傑作となった。

あらすじ

頃は幕末−−ここ品川宿の遊女屋相模屋に登楼したのは佐平次の一行。さんざ遊んだ挙句に懐は無一文。怒った楼主伝兵衛は佐平次を行燈部屋に追払った。ところがこの男黙って居残りをする代物ではない。いつの間にやら玄関へ飛び出して番頭みたいな仕事を始めたが、その要領のよいこと。売れっ妓こはるの部屋に入浸って勘定がたまる一方の攘夷の志士高杉晋作たちから、そのカタをとって来たり、親子して同じこはるに通い続けたのがばれての親子喧嘩もうまく納めるといった具合。しかもその度に御祝儀を頂戴して懐を温める抜け目のない佐平次であった。この図々しい居残りが数日続くうちに、仕立物まで上手にする彼の器用さは、女郎こはるとおそめをいかれさせてしまった。かくて佐平次は二人の女からロ説かれる仕儀となった。ところが佐平次はこんな二人に目もくれずに大奮闘。女中おひさにほれた相模屋の太陽息子徳三郎は、おひさとの仲の橋渡しを佐平次に頼んだ。佐平次はこれを手数料十両で引受けた。あくまでちゃっかりしている佐平次は、こはるの部屋の高杉らに着目。彼らが御殿山英国公使館の焼打ちを謀っていることを知ると、御殿山工事場に出入りしている大工に異人館の地図を作らせ、これを高杉らに渡してまたまた儲けた。その上焼打ちの舟に、徳三郎とおひさを便乗させることも忘れなかった。その夜、御殿山に火が上った。この事件のすきに、ここらが引上げ時としこたま儲けた佐平次は旅支度。そこへこはるの客杢兵衛大尽が、こはるがいないと大騒ぎ。佐平次は、こはるは急死したと誤魔化してその場を繕い、翌朝早く旅支度して表に出ると、こはいかに杢兵衛が待ち構えていてこはるの墓に案内しろという。これも居残り稼業最後の稼ぎと、彼は杢兵衛から祝儀をもらうと、近くの墓地でいいかげんの石塔をこはるの墓と教えた。杢兵衛一心に拝んでいたが、ふと顔をあげるとこれが子供の戒名。欺されたと真赤になって怒る大尽を尻目に、佐平次は振分けかついで東海道の松並木を韋駄天走りに駈け去って行った。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1957年
製作国 日本
配給 日活
上映時間 110
カテゴリ 仁侠/時代劇
チケット 前売りチケットを購入する