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「あすも夕やけ」(1977)

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児童映画の分野で活躍してきた神山征二郎が、埼玉文化協会活動の一環として手掛けた意欲作。彼の監督協会新人賞受賞第1作となった。捨て子の時に拾って育ててくれた男に連れられて飯場を転々としている少女が、埼玉県の新興住宅地を舞台に、地元の対立する子供たちを仲よくさせていく様子を描く。

あらすじ

まだ緑の多い田園風景を残す静かな町、近くには広大な自然を生かした森林公園がある。日焼けした大柄な七歳の子で、どこか謎めいてみえるあや子という少女がいる。保育園や学校へふらりと現われて不思議な行動をするが、子供たちは名前も知らず、ただ「あの子」と呼んでいる。そんなあや子にやさしく話しかけるのは保育園のユリ先生で、大分太り気味だが、若くて愛くるしく、美しい声の保母さんである。小学校には二つのグループがある。一つは明夫、正司、昭彦、治美、和子たちのグループで、もう一つは二郎、松男、杉男、信夫、マキ、ミドリ達、松男と杉男は双児で見分け難い。大川塾の大川先生は、やせっぽちだが、威厳をみせてなかなかきびしく、ユリ先生にほのかな慕情を寄せている。定員オーバーで塾に通えないカギっ子の二郎や杉男兄弟は放課後、時間をもて余し気味でぶらぶらしていた。ある日、松男と二郎が森林公園で遊んでいると、あやまって噴水池に落ちた。その時、底に沈んでいた何千円ものコインを拾う。実はこの池は「愛の泉」と言い、「不幸な子らのためにコインを投げて下さい」という池だったのだ。二人は松の木の根っこに一先ず埋めておくが、翌日行ってみると何者かにとられていた。あや子が姿を現わし、塾の子らがみつけて警察にとどけた、と言う。「塾の野郎ども、いいふらしやがって」と二郎と松男はぢだんだを踏んだ。あや子はまた、田んぼでカエルを沢山とって大川塾の机の中に入れて驚かし、二郎たちのグループと互いに敵視させたりして楽しんでいた。あや子はユリ先生が好きだった。ユリも園児といっしょに、森林公園へあや子を誘ってくれた。ユリ先生は美しい声で唄う。「お母さんといっしょにつんだタンポポ、幼い頃だった。タンポポの花がいつしか消えてしまった。お母さんの匂いも消えていった。」美しいメロディはあや子の心に深くしみわたっていく。あや子は、突然走り出し、沢山のコインをポケットから出すと池に投げこむのだった。又、あや子は二郎達グループの手に花の種をにぎらせたりすることもあった。二郎が「毛虫だ、毛虫だ」と騒ぎ、みんなで大笑いする。どんな花が咲くかと、毎朝、ゆう子はその種に水をやる。大川先生はあや子にユリ先生へのラブレターを頼んだ。丁度ユリ先生は病気でお休みなので家まで行き、ついでにお使いまでしてあげる。ユリはその時、あや子が夕日丘団地の宅地造成の飯場に“おじさん”と住んでいる事をつきとめた。だんだん子ども達の対立が激しくなり、二郎と明夫のつかみ合いのけんかが始まったが、塾に遅れるから日曜の午後に決着をつけようという。場所は宅地造成地、一対一でというのにあや子が二人に、別々にみんなが待伏せしていると話したので、グループ全員の争いにエスカレートしてしまった。その日は大雨だった。あや子はひそかに両方の陣地に泥団子をたくさんつくってビニールでかくしておき、それを一つづつ両グループに投げこんで開始の合図をした。みんなこの時とばかり泥ん子になって闘った。あや子のしらせでかけつけた大川先生も泥団子をうけて倒れてしまう。結果は、あや子のせいなのに、思いきりやって、みんな爽快になり「またやろうぜ」という始末である。翌日、ユリが飯場の“おじさん”を訪ねるとその人は大けがをして病院に入院し、あや子は警察に保護されたという。“おじさん”という青年は、三年前、捨て子だったあや子を見つけ今まで育ててきたが、これからはあや子を施設に入れ、教育をうけさせると言う。役所の相談員がきて、あや子は施設に行く事になる。新しい洋服を着、髪も綺麗にといて、一見大人びて落ち着いてみえるあや子。相談員がやさしく手をひこうとすると、彼女は静かにその手を振り払う。しかし、汽車が到着した時、あや子は心を決めた。ドアが開くと、あや子は黙って立ち上がると、相談員の手につかまった。あや子によって二つのグループの対立が止んだ。子ども達は仲良く一団となって下校してゆく。その中をオートバイを運転する大川先生が、うしろにしっかりつかまったユリ先生を乗せて走り去る。はやしたてる子ども達の声を残して。あや子を乗せた列車は、緑の平野を走る。明日も幸せにと祈るように夕やけがまぶしく輝き、あや子を包みこむ。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1977年
製作国 日本
配給 近代映画協会=埼玉映画文化協会
上映時間 75
カテゴリ 人間ドラマ
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