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「春の戯れ」(1949)

60点60
マルセル・パニョルの名戯曲『マリウス』を、山本嘉次郎が翻案、映画化した港町ロマン。居酒屋のせがれ正吉は海と異国への憧れを断ち難く、日々、水夫として出港するのを夢に見る。正吉には相愛の幼なじみ・お花がいた。お花は正吉への恋情に苦しみながらも、彼の夢を叶えるべく、一夜の想い出を胸にしまい、彼女を見初めた呉服問屋の旦那のもとに嫁いでいく。やがて、お花は正吉の子を生むが……。

あらすじ

明治の初めのことである。品川の居酒屋入船屋の金蔵のせがれ正吉は、知らない外国を夢にえがいて、その文明の国をこの目で見たかった。とくに横浜のイギリス波止場にノルマンジャ号が来たのを見てからというもの、呆然と、かけ離れた文明の国への憧れに胸をおどらすのだった。ある日入船屋へ、ノルマンジャ号の日本人の乗組員が水夫長とともにどやどやとやって来て酒を飲んだ。ニューヨークの話、シンガポールの話、バナナの話、それらは日ごろの正吉の夢に拍車をかけた。水夫長は正吉の耳に「外国へ行きたかったらノルマンジャ号の乗り組みにしてやるから、出港までに尋ねてこいよ」とささやくのだった。正吉はいてもたってもいられなかった。しかし正吉には好きなお花がいた。お花は今年十九の娘ざかり、小さい時から正吉の遊び相手で、正吉をしんから好きだった。正吉はお花の気持ちをよく知っていた。だがそれよりももっともっと強く海が正吉を呼ぶのだ。町の呉服屋の大旦那徳兵衛は妻を亡くしてから淋しく、お花を見初めていた。お花は受け合わなかったが、とうとうある日正式にお花をもらいに来た。お花のおふくろは仕度金の一万円にびっくりしてお花をすすめる。お花は正吉に、泣いて激しい恋情を打ち明けるのだ。徳兵衛も正吉との仲を知って、あっさりと手を引いた。しかし正吉を呼ぶのはやはり海だった。ノルマンジャ号の出帆がせまった日、水夫長は正吉をさそいに来た。「明日ランチで迎えに来るから決心しなよ」正吉はクラクラっと目眩のする思いだった。その夜、お花は正吉の海への、外国へのあこがれのあまりに大きいのにぼう然として、かえって正吉に身体を許してしまった。夜が明けて、正吉は昨夜の過失に責任を感じ、乗船を諦めた。しかしランチが迎えに来るともうどうしていいかわからなかった。男のあまりにも激しい夢に、お花は心にもなく徳兵衛と結婚するという。正吉はびっくりしてお花をみつめるが、女心をはかりしれず、裏切られた思いでノルマンジャ号にはしる。−−月日が流れた。お花は正吉の子供を宿し、しようことなく本当に徳兵衛と結婚した。そして日毎に徳兵衛のいたわりと大きな愛情につつまれて可愛い子供を生みそして子供は育った。正吉からは音さたなく三年たった。ある日、ランチがついてたくましく成長した正吉の姿がお花を求めた。だかそこに、お花は現実の幸せをつかんでいた。子供は正吉の子であったが、今ではそれは理屈であって、徳兵衛の子に違いなかった。正吉は再び海の上へ出ていくのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1949年
製作国 日本
配給 新東宝=映画芸術協会
上映時間 109
カテゴリ ラブ・ストーリー
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