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「麥秋〈1951年〉」(1951)

【DVD発売中】

78点78
小津安二郎監督の力量が最も充実していた時期に作られた作品であり、「晩春」や「東京物語」など、小津の代表作と並べても決してひけをとらない素晴らしい出来で、小津の最高作とするファンも多い。戦前の小津のサイレント作品で数本の脚本を書いた野田高梧は、「晩春」以後小津との名コンビを続けていくのだが、そのセリフの間(ま)の絶妙さは本作で最大に発揮される。北鎌倉に住む間宮家の気がかりは、28歳になる独身娘・紀子の結婚だ。両親や兄夫婦は紀子の縁談についていろいろと心配するが、本人はあまり気のりでない様子。やがて兄妹のような気軽さでつきあっていた子持ちの男と結婚しようと紀子は決心する……。原節子、笠智衆をはじめ、相変わらず充実したキャストの存在感は大きいが、なかでも紀子の結婚相手の母を演じた杉村春子のコミカルさとシリアスさを使い分けた演技は抜群。

あらすじ

間宮周吉は北鎌倉に住む老植物学者である。息子康一は医者で東京の某病院に通勤、娘紀子は丸ノ内の貿易会社の専務佐竹宗太郎の秘書である。佐竹の行きつけの築地の料亭「田むら」の娘アヤは紀子と学校時代からの親友で二人共未婚であるが、安田高子と高梨マリの級友二人はすでに結婚していて、四人が顔を合せると、未婚組と既婚組とに対立する。折から間宮家へは周吉の長兄茂吉が大和の本家より上京して来たが、紀子の結婚談が出る。同時に佐竹も自分の先輩の真鍋という男との縁談をすすめる。間宮家では、周吉夫婦をはじめ康一たちも佐竹からの話に乗り気になり、紀子も幾分その気になっているが、古くから間宮家の出入りである矢部たみの息子で、康一と同じ病院に勤めている謙吉が、急に秋田の病院へ転勤するときまったとき、謙吉こそ自分の結婚すべき相手だったことに気がつく。謙吉には亡き妻との間に光子という三才の遺児があり、恒産もないので、間宮家では四十歳ではあるが、初婚で、善通寺の名家の出である真鍋との結婚を希望するが、紀子のたっての希望を通してやることにする。紀子は秋田へ去り、周吉夫妻も大和の本家へ引きあげて行く。その大和はちょうどさわやかな麦秋であった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1951年
製作国 日本
配給 松竹=松竹大船
上映時間 125
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