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「流れる」(1956)

【DVD発売中】

84点84
幸田文の同名小説を映画化した成瀬巳喜男監督の名作。「めし」「晩菊」の名コンビ、田中澄江と井手俊郎が脚色を担当、東京の下町にある芸者置屋を舞台に、住み込みの女中の目を通して花柳界に生きる女たちの姿を描いている。出演は、18年振りに復帰した日本映画草創期の大スター・栗島すみ子をはじめ、女中役の田中絹代、女将の山田五十鈴とその娘・高峰秀子、そして芸者を演じる杉村春子、岡田茉莉子、中北千枝子とまさにそうそうたる顔ぶれ。こうした大女優の競演に際し、成瀬の演出は、派手で大仰な芝居よりはむしろ抑えた演技を要求しており、それにより各人の持ち味が十二分に引き出されて緊張感を高めている。衣装や小道具にも細かい配慮がなされ、女優たちの魅力と相まって実に印象深い。女優の芸と個性がぶつかり合い絡み合った、白粉の匂いにむせかえるような、まさしく女の世界である。

あらすじ

大川端に程近い東京の花街。芸者置屋つたの家に、職業紹介所から女中梨花がお目見得に来た。夫は一昨年、子供も昨年死んだという梨花は、女将つた奴のお目見得も無事に済み、お春と名も変えられて住込む。早速使いに出された食料品屋の親爺は、払いが悪いか良い顔をしない。家に戻ると、つた奴と腹違いの姉、鬼子母神のおとよが借金の催促に坐り込んでいる。この家も抵当に入っているんだと教えてくれた芸妓染香も、おとよに借金がある。おとよは、つた奴に旦那を世話して借金整理の腹だが、つた奴は乗り気でない。数日後、喧嘩して出た芸者なみ江の叔父鋸山が、姪をタネにゆすりに来る。つた奴は留守だったが梨花たちは震え上る。その頃、つた奴はおとよと歌舞伎座へ出かけていたが、目的は鉄鋼会社社長村松との顔合わせと知り、遇然出会った昔の同僚で今は水野家の女将お浜と先に帰ってしまう。鋸山から三十万払えとの手紙、加えておとよも怒鳴り込む。つた奴は遂にお浜を訪ね、別れた旦那花山に、お浜の甥で花山の秘書をしている佐伯を経て詫を入れる。翌日、花山からとお浜が十万届けて来たが鋸山に半分はとられてしまう。騒ぎの最中、つた奴の妹米子の先の亭主高木が、子供不二子の病気を見舞いに来たが金だけ置いて逃げるように去る。お浜がこの家を買取り旅館にするとおとよから聞いたつた奴は真疑をただすが、冗談をと笑うお浜にホッとした。加えて今夜七時、花山と合うことになる。ブラブラしているのは恥しいからお友達の家でミシンの下請けでもする、という娘勝代を叱りつけ、約束の料亭三田に赴いたつた奴。だが花山は急用で来れぬと佐伯が姿を現わす。総てを察した傷心のつた奴が戻ると、また鋸山が来ている。巡査を呼んだが参考人として彼女も留置場へ。お浜と佐伯の運動で一晩で帰されたが、家を買って貰いたいというつた奴に、お浜は実は先日の十万は手切金の意味と言う。この辺で私も男とは縁切れと淋しく笑うつた奴。おとよの目算は見事に外れたが、佐伯と戻って来た鋸山はなみ江の荷物をまとめ逃げるように帰る。程なくつたの家に残るのはつた奴、勝代に梨花の三人。だがつた奴母娘に出て貰い、あんたに任せて小料理屋をというお浜の話も梨花は断わる。秋風の吹く頃勝代とイサカイの末オン出た染香が詫を入れてくる。こちらも新規まきなおしと微笑するつた奴、二階では勝代が内職のミシン仕事。郷里へ戻ろうと決心した梨花は、つた奴と染香の三味線で踊る仕込み子たちの姿をいつ迄も眺めていた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1956年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 117
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