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「おとうと〈1960年〉」(1960)

【DVD発売中】

71点71
幸田文の原作を水木洋子の脚色で映画化、高い評価を得た市川崑の代表作。片足を病み、後妻というコンプレックスを強く抱いている母。作家である父は、その母を扱いあぐねている。この父母の間で、愛を与えられず不良化していく弟と、その弟をかばい、愛情を注ぐ勝ち気な姉を軸に物語は進む。遠慮なく悪口を言い合い喧嘩する姉と弟は、しかしそれゆえ深く信頼し愛し合っている。ある日弟は、暴れるだけ暴れ家族を困らせたあげく、突然結核で倒れる。父母の愛が初めて弟に注がれ、家族が一つになったのもつかの間、弟は死んだ。姉はショックで倒れたが、ふと目を覚まし、あと片付けを始めるのだった。恋人同志もかくやの美しい姉弟愛を、市川監督はワンショットごとに目配りの利いた色彩処理と画面構成でカラリと描き上げ、彼の文芸路線の白眉となった。

あらすじ

げんと碧郎は三つちがいの姉弟である。父親は作家で、母親は二度目であり、その上手足のきかない病で殆ど寝たきりだった。経済状態も思わしくなく、家庭は暗かった。碧郎が警察へあげられた。友だちと二、三人で本屋で万引したのが知れたのだ。しばらくたったある日、げんは鳥打帽の男に呼びとめられた。男は警察の者だと名のり、碧郎や家のことを聞いた。男は毎日のようにつけ始めた。そんなげんを碧郎は「親がちょっと名の知られた作家でよ、弟が不良で、お母さんが継母で、自分は美人でもなくて、偏屈でこちんとしている娘だとくりゃ、たらされる資格は十分じゃないか」というのだった。転校してからも碧郎の不良ぶりははげしかった。乗馬にこりだし、土手からふみはずして馬の足を折ってしまった。碧郎はその夜童貞をどこかへ捨てた。二年たった。十七になった碧郎に思わぬ不幸が訪れた。結核にやられたのである。湘南の療養所へ転地し、げんが附きそった。死が近づいてくるのを知った碧郎は、げんに高島田を結うよう頼んだ。「姉さんはもう少し優しい顔する方がいいな」といいながらも、げんの高島田を見て碧郎はうれしそうだった。父が見舞いに来た時は、治ってから二人で行く釣の話に夢中だし、足をひきずってきた母には、今までになく優しかった。夜の十二時に一緒にお茶を飲もうと約束して寝たげんは、夜中に手と手をつないだリボンがかすかに引かれるのを感じて目を覚ました。医者が来た。父や母も飛んできた。「姉さんいるかい」それが碧郎の最後の言葉だった。風のある晴れた寒い夜だった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1960年
製作国 日本
配給 大映=大映京都
上映時間 98
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