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「東京物語」(1953)

【DVD発売中】

82点82
黒澤明、溝口健二とともに日本を代表する映画作家・小津安二郎の代表作といえばこの「東京物語」につきるだろう。小津がサイレント期から描き続けてきた親子関係のテーマの集大成ともいえる作品である。地方から老いた夫婦が上京し、成人した子供たちの家を訪ねる。子供たちははじめは歓迎するが、やがて両親がじゃまになって熱海に行かせたりして厄介ばらい。戦死した息子のアパート住まいの未亡人だけが親身になって面倒をみてくれるという皮肉。やがて老夫婦は田舎に帰るが、その直後、妻は急死してしまう。一人残された老人は、静かに海を見つめて……。戦後の日本における家族生活の崩壊を描いた、と監督本人が語るこの作品は、人間の孤独感、死生観といったテーマまでをも取り込み、味わい深い作品となった。志賀直哉を深く愛した小津監督は、『暗夜行路』にちなんで尾道市をラスト・シークエンスの舞台に選んだが、その尾道の寂れて、どこか温かい風景が、この厳しいテーマを繊細に包み込み、忘れることのできない画面を生み出した。

あらすじ

周吉、とみの老夫婦は住みなれた尾道から二十年振りに東京にやって来た。途中大阪では三男の敬三に会えたし、東京では長男幸一の一家も長女志げの夫婦も歓待してくれて、熱海へ迄やって貰いながら、何か親身な温かさが欠けている事がやっぱりものたりなかった。それと云うのも、医学博士の肩書まである幸一も志げの美容院も、思っていた程楽でなく、それぞれの生活を守ることで精一杯にならざるを得なかったからである。周吉は同郷の老友との再会に僅かに慰められ、とみは戦死した次男昌二の未亡人紀子の昔変らざる心遣いが何よりも嬉しかった。ハハキトク−−尾道に居る末娘京子からの電報が東京のみんなを驚かしたのは、老夫婦が帰国してまもなくの事だった。脳溢血である。とみは幸一にみとられて静かにその一生を終った。駈けつけたみんなは悲嘆にくれたが、葬儀がすむとまたあわただしく帰らねばならなかった。若い京子には兄姉達の非人情がたまらなかった。紀子は京子に大人の生活の厳しさを言い聞かせながらも、自分自身何時まで今の独り身で生きていけるか不安を感じないではいられなかった。東京へ帰る日、紀子は心境の一切を周吉に打ちあけた。周吉は紀子の素直な心情に今更の如く打たれて、老妻の形見の時計を紀子に贈った。翌日、紀子の乗った上り列車を京子は小学校の丘の上から見送った。周吉はひとり家で身ひとつの侘びしさをしみじみ感じた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1953年
製作国 日本
配給 松竹=松竹大船
上映時間 136
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