閉じるボタン
【重要】システム障害発生につきまして

「プーサン」(1953)

68点68
数ーのヒット作を生んできたとはいえ、市川崑の“才能”を一躍世に知らしめたのはこの作品であった。横山泰三の漫画を原作に、現代社会とそこで蠢く庶民の姿を、風刺コメディの形で完成させた逸品である。世渡りがヘタで、下宿先の娘に恋をしても想いを伝えられない主人公のやもめの教師が、俗物政治家が苦境もなんのその、スイスイ世を渡っていくのを目の当たりにして、非情の心を持とうとするが……。現代社会批判を、声高に訴えるのではなく、さりげなく良質のブラック・ユーモアのオブラートに包んでしまうあたり、「億万長者」「満員電車」などにつながっていく市川演出の面目躍如。

あらすじ

三流どこの補習学校教師野呂は、税務署吏員金森風吉の家に間借りしている。独身者だ。久かたぶりに銀座へ出て目をまわし、トラックに轢かれそこなった。当分右腕が利かず、学生泡田に代って黒板に字をかいてもらうが、かき賃一時間百円也を請求され、びっくりする。学校経営者の土建屋から夜間担任に格下げされ、無体な時間外勤務を強いられても文句ひとついえぬ野呂が、心ひそかに想うのは金森の娘−−銀行事務員のカン子であった。カン子は無類のガンコ娘で、同僚とはりあい恋人とはりあい、張りのない野呂なんか念頭にもない。野呂と金森は散歩中、戦記物で売りだし今は時めく代議士の五津元大佐に会釈された、というので大感激、警官の甲賀をまじえ外食券食堂で五津礼讃の一くさりをはじめる。途中から一枚加わった学生泡田と甲賀が、話のはしばしに互いの身分を知り、掴みあいとなる。つられて食堂中が大格闘、野呂は丼をもってにげだした。この顛末にもこりず、野呂は学生ちの誘いにのってメーデーに参加宮城前の紛糾にまきこまれて拘置される。同じ署内に選挙違反で検挙された五津もいたが、前後して裟婆に出てからは、五津は「牢獄記」出版でまたまた大ヒット、野呂は学校もクビ、しごと探しに必死である。漸く金森の妻らんの世話でミシン会社荷造り係の口がみつかり、今や入社詮衡へでかけよう、というまぎわ、カン子自殺未遂の報がくる。恋人との結婚を反対されてカンシャクをおこしたのである。が、無我夢中の野呂は「人でなし!」と呼ばうらんの声を背に、とっととわき目もふらず詮衡場へかけつけた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1953年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 98
チケット 前売りチケットを購入する