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「しとやかな獣」(1962)

【DVD発売中】

77点77
鬼才・川島の映画のなかでも、実に痛快な代表作の1本だ。舞台は2部屋しかない公団住宅。ここに、金のためには世間の道徳観念など屁とも思わない一家が住んでいる。海軍中佐であった父親の指導のもと、息子は芸能プロに勤め、サギまがいの悪徳手口で荒らし回り、娘は流行作家の妾となり、絞り取ることに余念がない。母親はそんな親子を温かく見守っている。そこに息子が横領金を貢いでいた女事務員が登場し……。悪に徹し切った登場人物たちのセリフが実に小気味良く、それにガッチリ応えた役者たちの味も格別。歌舞伎を思わせる音楽の流し方といい、斬新なブラック・ユーモア家庭劇。

あらすじ

アパートが立ち並ぶ郊外の団地、前田家はその四階の一角を占めている。前田時造は元海軍中佐、戦後どん底の生活を経験した彼は自分の殻にとじこもり、子供たちを踊らせるあやつり師になった。息子の実には芸能プロの使い込みをやらせ、娘の友子は小説家吉沢の二号である。その友子が別れ話をもって帰って来た。友子を追って現れた吉沢にまだ友子への未練があるとみると、極力恐縮したふりをする時造夫婦だった。実は会社の会計係三谷幸枝と関係があった。その幸枝が、念願の旅館が開業の運びになったからこの辺で別れたいと言うのである。子供を抱え夫に死なれた彼女にとって唯一の道は思いきり体を使って生きるほかなかった。男の誘惑に巧みに乗り、大いに貢がせる。実との取引は既に終っていると幸枝は言い放つのであった。芸能プロにも辞表を出した。恩を仇で返したと社長の香取が怒っても、幸枝は香取の尻っぽを握っている。彼は幸枝のために使い込んだ金のことで税務署の神谷を抱き込んでいるのだ。神谷に払われた金がそっくり幸枝に戻ってくるのは、ホテルへ行って愛情の代償として貰うものであるから関係ないとうそぶく幸枝の見事さに、さすがの時造一家も感嘆するばかりだった。しかし幸枝にはまり込んでいた実は嫉妬に歯をくいしばるのだ。税金未納の責任で神谷が馘になったと聞いて、幸枝は一瞬驚いた。香取や実は当然罪に問われるだろう。それでも私は傷つくことはない……。幸枝はキッパリと実たちに絶縁の言葉を残して去って行った。前田家の団らんの中に神谷が幸枝を探しに来て空しく帰った。友子と実がステレオで踊り時造とよしのがビールを飲んでいる頃、アパートの屋上から神谷の体が落下して行った。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1962年
製作国 日本
配給 大映=大映東京
上映時間 96
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