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「夜明け前」(1953)

70点70
“木曽路はすべて山の中である“という有名な書き出しの島崎藤村の同名小説の映画化。幕末の木曽の山中、馬篭の宿場町を舞台に、庄屋・青山半蔵の波乱に満ちた生涯を重厚なタッチで描く。半蔵に扮する滝沢修以下、劇団“民芸“総出演による歴史ドラマ。

あらすじ

幕末。−−はげしい世の推移は今や木曾の山中にもひしひしと感じられる。木曾馬篭の本陣・庄屋青山家の長男半蔵は、近郷中津川の国学者宮川寛斎より平田篤胤の学問をまなび、さらに江戸へも遊学して、その復古的な理想主義の立場から既成の政治に批判的だった。文久元年。皇女和宮の将軍家御降嫁がきまり、江戸へ向うその行列の沿道木曾谷では、徳川代官による人馬徴発が誅求をきわめた。徳川没落の予兆かのように郷民の反撥が高まっている折から、江戸より帰った半蔵は農民に寄生する寺院をつぶし、民事一切神式に則ることを唱えたが、彼の属する上層階級の反対きびしく、事は失敗に終った。文久三年、半蔵は青山家十七代の当主となった。その年の春から参勤交代の廃止、新撰組の西下と物情はさらに騒然としてくる。半蔵は幕吏に追われる友人の志士暮田正香をかくまったり、敗残の水戸天狗党一行を手厚くもてなしたりする。慶応二年の大凶作に倉の米をすべて民衆に解放したのも彼の信条の現われであった。明治維新。王政復古とともに一切は好転すると信じていた彼は相もかわらぬ百姓下民の苦しみに幻滅を感じる。国有林伐採のかどで日夜郷民が拘引されるのを見て、役所へ自由伐採の件訴願した彼は、戸長(村長)職を剥奪された。その夜、娘お粂が自殺をはかる。半蔵に似て学問好きな彼女は、それだけ父の苦悩にも敏感なのだった。半蔵は東京へゆき、天皇に直訴した。木曾に帰った彼を待っていたのは「隠居」である。生涯をかけて信じた平田国学の理想主義は、みごと当の「王政」によって裏切られた。絶望のはてついに発狂し、寺に火を放った半蔵は、やがて明治十九年、薄暗い座敷牢の中で生涯を終えた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1953年
製作国 日本
配給 近代映画協会=劇団民芸
上映時間 142
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