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「出所祝い」(1971)

50点50
五社英雄監督、仲代達矢主演によるヤクザ映画。ある地方都市を舞台に、伐採した材木を運ぶ軽便鉄道の利権をめぐって二大ヤクザ組織がしのぎをけずる。この作品は東宝初のヤクザ映画で、本家東映のヤクザ映画と比べるとやはり違和感がある。

あらすじ

昭和四年、大正天皇崩御、今上天皇即位と、二度に渡る特赦、減刑の大恩典により榎家の岩橋清治、小野寺努、観音組の尾関軍次郎、そして流れ者の女彫りもの師お夕が、各地の刑務所を出所した。日本海側のとある地方都市で勢力を二分する榎家と観音組は、伐採した材木を運ぶ軽便鉄道の利権をめぐって、長い間小ぜり合いを続けてきたが、六年前、謎の鉄道爆破事件が導火線となって激突し、流血の抗争を展開した結果、観音組の親分勝五郎を刺殺した清次を始め、軍次郎、努らは傷害罪で入獄していたのだった。だが出所した清治と努が帰る榎家は弥三郎が急死した後榊哲之助が二代目を継ぎ、軍次郎が帰る観音組は五十嵐悟が二代目となって、国民党副総裁浅倉玄竜の仲裁で手打ちをし、玄竜の日本侠菊会一門の看板の許で、山からの材木の積み込みは観音組、荷落しは榎家とわけ、六年前の惨事は嘘のように共存共栄の道を辿っていた。清治と軍次郎の出所祝いが玄竜の音頭により両家合同で盛大に行なわれた。一方、努は網走からの帰り道、女殺し屋お妻とお滝に襲われ深手を負って出迎えた松造に救われた。松造は、努が榎家に帰るのを止めた。それは五十嵐と婚約した榎家先代の娘綾への配慮からだった。綾は八年の刑で服役した努の帰りを待っていた。だが哲之助は、手打ちをしたものの先代を殺された観音組の怨みが根強いのを知ると、五十嵐が綾に執心なのを利用し、榎家の代紋を守るためにも強引に婚約を進めたのだ。綾は努の出所を知ると、清治に破談を懇願したが、祝言を前に結びつきを深める両家の間では不可能なことだった。やがて、女殺し屋の手によって松造が殺された。その死に不信を抱いた清治は、出所した時、寒村の安宿で獣のように欲情をむさぼり合ったお夕と再会するために寒村に向った。お夕の意外な真相の告白は、清治を驚愕させた。榎家の先代は侠菊会一門になるのを反対したために玄竜の命令のもと、哲之助が放った刺客竜次に殺されたものであり、六年前の抗争も玄竜、哲之助、五十嵐の書いた陰謀だったとは……。材木の一手売りさばきという巨額の利権の前に悪徳政治家玄竜を中心にして暗躍する非情冷酷な男たちのために多くの血が流れたことを知り、清治は激怒した。祭礼は綾と五十嵐の祝言の日だ。陰謀渦巻く渡世の世界にいやけがさした軍次郎は、五十嵐に出入りのからくりをあばき、破談を迫まった。彼の得意の乱れ打ちが破談成立の合図だ。大群衆と共に“ねぶた”が町をねり歩く。焦爆をかり立てる努の耳に乱れ打ちが響いた。喜びに溢れて町を突走る努の前に、血で彩られた軍次郎の姿があった。ドスを抜いた努は観音組と渡り合ったが激闘の末、力つきて倒れた。遂に白刃を抜いた清治は単身婚礼の席に乗り込んだ。清治の白刃は玄竜、哲之助、五十嵐の頭上に振りおろされた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1971年
配給 東宝=東京映画
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