閉じるボタン

「朝霧」(1955)

0点--

あらすじ

信州の高原大学の学生椿普一は、姉の彰子からの仕送りで勉強しているが、その姉が亡父の友人倉賀の秘書になったといって三万円の金を送ってきた。亡父の法事で上京した普一の眼は、姉の贅沢な暮らし向きに戸惑った。幼い頃よく一緒に遊んだ倉賀の娘八千代が、普一に二人きりで話したいというのも、何かいわくありそうだ。高原の寮に帰ってからも暗い疑惑の影が、普一の心をかきむしった。普一の親友庄司は林檎畑で知り合った娘菊江を愛している。そして、菊江が借金のため芸者に売られるという話を聞くと、学生らしい一途でその金をつくろうとした。そうした庄司の姿を、普一は美しいと思った。だが、庄司がアルバイトで稼いだ金は、普一のカンパを加えても借金の十分の一にも足りなかった。学期試験が終ると、庄司はもっと働かなければと、兄のいる大阪へ発った。普一は西洋史の雄島先生と上高地へ出かけた。ホテルには彰子が倉賀や八千代と、避暑にきている。夜、普一からすべてを聞いた雄島は、確証もなく姉さんを疑うことはよくない、ただ信ずることだ、と諭した。普一の心には明るい希望が湧いたが、翌日大正池のほとりで八千代から、彰子さんに父と別れて貰いたいといわれ、信じようとした努力も一度にくずれて、普一は逃げるように走った。ホテルに帰った普一は、見てはならぬものを見てしまった。バスの発着所に佇んでいる普一に、八千代が電報を持って来た。庄司が死んだのだ。普一は庄司の家を訪ねた。遺言には菊江に届けてくれと、働いた金が入っていた。寮に帰った普一が庄司の思い出に耽っていると、八千代が現れて、彰子さんがピアノの先生でもしながらひとりでがんばるといって、東京へ帰るところだと告げた。普一の眼に涙が泛んだ。白樺の高原を縫って、彰子をのせた汽車が走るのを、普一と八千代が見送っていた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1955年
製作国 日本
上映時間 94
チケット 前売りチケットを購入する