閉じるボタン
【重要】システム障害発生につきまして

「濡れた荒野を走れ」(1973)

70点70
当時の官権による粛清のなか、約1年がかりで実現した反権力映画の力作。ベトナム救済基金を教会から強奪し、女を輪姦した5人組の正体は警官だった。現場にとってかえした彼らは証拠集めならぬ証拠隠滅を敢行。さらにその犯罪は県警ぐるみで学習的に行われていた。という冒頭のみが往時は喧伝されたが、この映画の大半は精神病院から脱走し行きずりの女子高生と逃避行を続ける元警官と、彼の狂気を疑い自分たちの犯罪が露見することを恐れて県警が送り込んだ二人の警官の話である。この道行きはアナーキーな明るさに富んでおり、澤田演出=長谷川脚本の真骨頂はこれらの描写にうかがえる。

あらすじ

ある地方都市。ベトナム救済募金が数人の覆面グループに強奪された。グループは犯行が終るや、何くわぬ顔で警察官に早変り、事件現場に急行、証拠隠滅を計った。数百万円の募金をものにした主犯の原田、加藤は、署長から、精神病院に入院していた中村が、脱走したことを知らされた。中村は、記憶喪失におち入り、変態行為をする、原田の元上役の警官である。だが、原田らは、中村の病気は彼が組織から逃げ出すための芝居だと睨んでいた。ただちに付近一帯に非常線が張られたが、駅の公衆便所に女の絞殺死体が発見された。原田と加藤が駆けつけた時、丁度中村の乗った列車が発車したところだった。すぐ車に飛び乗った原田と加藤は猛スピードで列車を追跡した。彼らはいつしか、県境を越えていた。一方、車内で、中村は坐り合せた女学生の清水まり子の若々しい肉体に惹かれてゆき、ついに抱きしめた。その時二人をからかった男がいた。中村は、カッとなりその男を絞め殺した。追いつめられた中村は、まり子を人質に、拳銃をふりかざして、列車が駅に着くやいなや逃走した。翌日、署長から原田と加藤に命令が下った。「管轄外だから、中村が記憶喪失なら帰って来い、もし正気ならば正当防衛で殺せ」と。中村とまり子は盗んだライトバンで逃亡、海岸に辿りついた。二人の間にはいつしか奇妙な連帯感が芽生え、まり子は中村を優しく抱きしめた。やがて、まり子は、従兄弟のいるドサ廻り劇団“白日夢”の現在の居所を、ラジオのディスクジョキーで聞き、中村を連れ、仲間に入れてもらった。一方、そのラジオを、原田も聞いていた、原田は、加藤に中村の妻恭子を連れて来させ、旅行者と偽って劇団に入り込んだ。しかし、中村は三人に何の反応も示さなかった。夜、突然、覆面のオートバイ集団が、一座に殴り込んで来た。高鳴るエンジンの音と絶叫によって、中村のデモ隊鎮圧の時の阿鼻叫喚が意識の中で甦って来た。錯乱の極限の中で中村は、妻が覆面姿の加藤に犯されているのを見た。中村は全身を震わせて加藤に飛びかかった。そして拳銃を奪い、乱射した。弾丸は恭子の胸を撃ち抜いた。中村の弾丸が切れた時、原田が中村の眉間を撃ち抜いた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1973年
製作国 日本
配給 日活
上映時間 73
映倫 R18+
チケット 前売りチケットを購入する