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「江分利満氏の優雅な生活」(1963)

【DVD発売中】

67点67
原作は山口瞳の第48回直木賞受賞作。原作では主人公は電機メーカーに勤める宣伝部長だが、映画では洋酒メーカーの宣伝部員(山口瞳が当時サントリー宣伝部に勤めていた)に置き換え、主人公が直木賞を受賞するまでを描いている。それまで男性アクションで定評があった岡本喜八が、この1作で戦中派の屈折した心理を見事に捉え、本格的に評価された。ストーリーは、洋酒メーカーの宣伝部員というしがないサラリーマンの“才能のないだらしない奴が一生懸命生きること“の大変さを、自分史や戦後史と重ね合わせながら描く。岡本の演出は、主人公と妻との若い頃のロマンスを、「残菊物語」にたとえて、下駄と靴だけの合成アニメーションで描いたり、父親の事業の盛衰を書き割りのセットやアニメーションで描いたりと自由奔放をきわめる。また主人公の背後にいる同僚をストップモーションにして、カメラの背後でもう一人の自分が画面内の自分が置かれた立場を分析してみせるシーンなど、ナレーションの使い方も秀逸。

あらすじ

おもしろくない、何をしもおもしろくない。三十六歳の江分利、年のせいだろうか? バーテンに聞いてみよう、「おもしろいかい?」「ええ、まあ……」おもしろくない、無気力である。このおもしろくない日、江分利は酔った勢いで雑誌に原稿を書く約束をしてしまった。でも何を書こう夏子は、私達の恋愛を小説にしたらと言うが、そうだ俺みたいな平凡なサラリーマン、才能のない奴だらしのない奴が、一生懸命生きていると言う事、大変な事じゃないか、それを書こう。「江分利は現在、夏子と庄助と父の四人で社宅に住んでいる。彼は自分の家の庭が、他の社宅のより広い事を発見して、大いに満足している。江分利と夏子は昭和二十四年に結婚した。江分利の給料が八千円、夏子のが四千円、二人共結婚でもしなければ生きて行けなかったのだ。江分利は酒を飲んでは、人にカラむようになった。翌年十月庄助が生れた。生後八カ月の庄助に銀座でマカロニグラタンを食べさせた時、江分利は庄助の親父になった。その後、夏子が発作を起したり、庄助が喘息になったりしたが、それでもどうにか生きて来た一生懸命に。昭和三十四年の大晦日、江分利の母が死んだ。何度かの成金と破産を経て、ぬけがらとなった父に絶望し、自分の葬式の食事の心配までして死んだ母。江分利は泣いた。茶漬けの茶わんに歯をガチガチと当てて怒りと悲しみにどうしようもなくて泣いた。父の借金をどうしよう。夏子を庄助を、江分利のこれからの人生で幸福にしてやることが出来るだろうか。江分利はそれでも何とかやって来た。そしてやって行くだろう。この生活を何にもこわさせやしない。」題は「江分利満氏の優雅な生活」である。彼のこの小説とも随筆ともつかぬものが直木賞を受けた。祝の席上でも江分利は人にカラむのであった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1963年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 102
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