閉じるボタン

「悪女の季節」(1958)

70点70
皮肉で痛烈な洗練された喜劇を得意とする渋谷実のコメディ・タッチのサスペンス映画。悪事でしこたま金をためこんだ老実業家と相棒の悪女、金目当てで彼の世話をする元芸者とその娘など、さまざまな物欲につかれた輩の人間模様が展開。ブラックな笑いが未消化ながら,鮮烈な印象を残す仕上がり。

あらすじ

八代泰輔は財産家である。もと三流地の芸者・菅原妙子と、少し気の変な婆やと三人で暮している。妙子は正式の妻ではないが、まめまめしく仕えている。彼の遺産が目当てなのだ。八代は六十八歳だが、肉体的には二十歳も若いと保証された。病院から帰ると、彼は脂っこい物を精力的に食うのだ。妙子はガッカリし、それを眺めているうち、怒りがこみあげてきた。その後、彼女は飽食して寝た彼をガスで殺そうとする。婆やの過失に見せかけて。が、妙子のもと馴染客・片倉が訪ねてきて失敗した。片倉は羽ぶりのいい指圧師だったが、今はもぐりのタクシー運転手に落ちぶれた。彼は妙子に借金に来たのだが、彼女の八代殺害の失敗を気づいた。妙子は彼を泣き落し、片倉を八代殺しの仲間に引き入れた。分け前は金と八代の眼玉である。片倉は片目が使えず、替え眼玉が必要だった。二人は、八代を首つり自殺に見せかけようとしたが失敗する。妙子らは殺し屋の秋ちゃんも仲間に入れた。妙子のもとの情夫との間の娘で、薬学生の眸が現れ、八代に百万円出せば縁を切ると申し出た。彼は正式な結婚をすれば金をやると云った。ある晩、眸が帰って来ると、八代の寝台にグサリとナイフを突きさす人影があった。ベッドは空だった。その若い男は八代の甥・慎二郎で、八代が父を殺し財産を奪ったと思い込み、復讐に燃えていた。眸は彼に同調し、彼と握手した。八代は浅間の別荘に行くことにした。妙子は片倉の車を呼んだ。眸と慎二郎の合乗りのオートバイが、八代の車を追い抜いて行った。別荘に着くと、慎二郎らが仲間と庭でキャンプしていた。八代は裏山つづきの気象研究所の物置に一人で寝ることにする。持ってきたダイヤの小箱を防空壕の隠し金庫に隠した。彼が慎二郎の父から奪ったものだ。慎二郎は八代を詰問する。八代は誤解だといい、全財産をお前にやるつもりなのだといった。殺し屋の秋ちゃんは八代に売収され、依頼人が妙子だとしゃべった。その時、妙子が現れ、運転手の片倉と二人で彼を怒らせようとする。八代が怒ったら、二人の思うツボである。秋ちゃんから話を聞いている八代は怒りながらも柳に風と受け流す。翌日、八代は帰京すると云い出す。秋ちゃんがダイヤ目当てに防空壕を掘り、砲弾を爆発させ、彼と慎二郎はふっとんだ。慎二郎のベッドの前で、妙子、眸、八代、片倉はダイヤをめぐって口争いする。物欲を露わにして。慎二郎が死に、八代はダイヤを気象観測用のゾンデにつけて空へ放つ。慎二郎のために罪滅しするのだと。眸はオートバイで気球を追う。片倉も妙子を置きざりにして後を追う。八代は笑った。ニセのガラスのダイヤをつけたのだ。妙子は銃で彼をおどし、ホンモノの方を取り出させる。が、もう一つの小箱から出てきた方がニセモノだった。八代が間違えたのだ。妙子は思わず八代を射殺し、気球を追う。気球は浅間山の火口の上を滞った。妙子の銃弾で、気球は火口に落ちた。妙子と眸はあきらめきれず、噴煙をのぞきこみ、もつれ合って落ちた。火口の縁に、片倉は立ちつくした。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1958年
製作国 日本
配給 松竹大船
上映時間 110
チケット 前売りチケットを購入する