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「伊豆の踊子〈1963年〉」(1963)

【DVD発売中】

63点63
川端康成の同名小説の、4度目の映画化。今回は踊り子・かおる役に吉永小百合を迎え、相手役に高橋英樹を配し、さわやかな仕上がりになっている。宇野重吉扮する大学教授が過去を回想するという形で始まるところが他の作品とは異なり、ラストには回想が終わり、教え子の大学生が恋人とデートに行くのを宇野重吉が目を細めて見つめているというエンディングも異色。この恋人を吉永小百合が二役で演じており、清楚な踊り子と現代っ子の女性と好対照をなす構成が面白い。踊り子が天城を訪れた学生と碁をさす有名なシーンは、この作品のみ“はさみ将棋“に置き換えられ、高橋英樹のひょうひょうとした感じと相まって、ほのぼのとした雰囲気が漂う。西河克己はのちに、山口百恵主演で再び「伊豆の踊子」を作っている。

あらすじ

若葉が美しい伊豆の街、修善寺を発った一高生の川崎は旅芸人の一行と連れになった。一座は大島の人で四十女を中心に男一人と若い女の五人づれ、川崎に可憐な笑顔を向ける踊子は一ばん年下のようである。下田まで同行する約束をして湯ケ野に着いた夜、川崎はお座敷へ呼ばれている踊子達のざわめきを聞くと胸が騒いだ。しかし翌日彼は、病気で寝ている酌婦のお清を慰めたり子供達とかくれんぼをして遊ぶ踊子が、まだ汚れを知らぬ子供と知った。踊子はその一日を川崎と遊び夜は仕事のあと彼に本を読んで貰った。翌朝、出発をのばすという一座と行を共にした川崎は、男の語る淋しい身上話を聞いた。一行は自分の妻とその母、年下の踊子はカオルといい十四で自分の妹、こんなことをさせたくないが事情あってのことという。一行と川崎は急速に親しくなり、踊子は強引に川崎が大島に来るという約束までさせてしまった。踊子が川崎を強く慕い始めたことに母親は気付いていたが、叱るでもなかった。翌朝下田へ向う道、山の中で川崎と踊子は初めて二人きりになったがドギマギしている間に時はすぎた。下田へ着き、川崎は最後の思い出にと踊子を映画に誘ったが、母親は許さなかった。これが二人の心の傷を深めるだけで所詮どうしようもない恋であると判っていたからだ。翌朝早く、川崎は下田の港に出かけた。送りに来た踊子は何を話しかけても黙ってうなずくだけだった。川崎の出船を見送る踊子は、船が遠く離れると懸命にハンカチを振った。彼の眼は踊子をみつめたまま急にうるんだ。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1963年
製作国 日本
上映時間 87
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