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「風前の灯」(1957)

87点87
木下が「喜びも悲しみも幾歳月」と「楢山節考」の間に撮った本格喜劇。小金をめぐって、ケチな家庭と強盗があの手この手の駆け引きをするところから生まれるユーモアが大いに笑える。木下はもっぱら叙情的な作風で知られるが、このような辛口の喜劇でも、その才気は際立っている。

あらすじ

幸平は田舎から上京してきた。新宿駅の広場で、無一文の空っ腹をかかえ、ぼんやり立っていると、不良たちに脅された。前から彼らが目をつけていた郊外の一軒だけ離れて建っている小住宅、佐藤家に強盗にはいるのに誘いこまれた。彼らが狙っているのも知らず、佐藤家では、人々が慾の皮をつっぱらせた生活を今日もするのだ。佐藤てつはこの家の主だ。小金を貯めたこの強慾婆の懐を息子の金重、百合子夫婦は狙っている。金重は、大学は出たけれど下駄屋の店員をしている。彼は懸賞の一等、五、六万円もするカメラに当選したが、てつ婆には、黙っていた。同居人の美代子は喫茶店のウェイトレスで、大学生の北村と良い仲だ。アイロンで畳を焦し、老婆と大喧嘩をして部屋を出ることになった。百合子の妹さくらは年下の夫とアパート暮しをしていたが、金重の当選を知り、金を目当てにやってきた。もう一人の妹あやめも現れた。百合子から、美代子の部屋が空いたと知らされ、ボーイフレンドの大学生鈴木を移転させるつもりだ。てつの甥の前科六犯のピストル強盗赤間も訪ねてきた。彼は戦災のどさくさに父母を亡くし、てつに彼の家を横領されたのを奪い返しにきたのだ。−−外では不良たちが、これらの人の出入りに、ただあきれていた。とんだ目算違いだ。何度も忍び入りかけて失敗した。幸平はだんだんやる気がしなくなっていた。−−一旦、部屋を出た美代子さえまた帰ってき、鈴木と部屋の奪い合いから喧嘩を始めた。かれらがやっと落着いた時、北村が来て焼餅をやき、鈴木と取っ組み合いを始めた。さくらは百合子が戸棚においた二十円をとり、百合子と喧嘩して帰った。そのことで百合子はてつ婆とも喧嘩した。てつの金が欲しい百合子夫婦はくたばるまでの辛抱と、てつに謝ったりする。夕刻まで居坐っていた赤間が、が然、正体を現し、夫婦をおどし、さらにてつの金を奪おうとした。が、てつの貯金はほんの少ししかなかったのだ。彼のピストルの最後の一弾を、金重の小さい子が暴発させ、警官が走ってきた。赤間はてつを殺そうと外へ追った。赤間と警官達との大乱闘を見守る弥次馬の中に、例の不良達も混っていた。夜、幸平は新宿の交番で涙を拭いていた……。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1957年
製作国 日本
配給 松竹大船
上映時間 79
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