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「鮫」(1964)

80点80
海の無法者・サメに因んでつけられた主人公のアダ名が題名になっている。主人公サメはその名のごとく極悪非道の限りをつくし、ついに悪党の首領にまで成り上がる。だが、以前手ごめにした尼僧の美しさが忘れられなくなり、次第に人間愛に目覚めていく。原作は真継信彦の同名小説。田坂具隆監督の異色作。

あらすじ

越前海岸の或る村に、父無し子として生れ、育った少年サメは、鮫を獲って母子二人の貧しい生活を送っていた。しかし、母も土一揆のあおりをくって死別。この日から、サメは憧れの京への旅へ出た。最初に手をひいたのは鋳物師だった。が、この老人も折からの大飢饉で、途中餓死してしまった。京への道案内を失ったサメは、ひもじさに耐えられず、人肉を食べ、女の欲望をまるだしにした三十女に連れられて京へ来た。だが京は、応仁の乱以後の混乱で巷には難民があふれて、死臭がただよっていた。サメは隻腕の盗賊四郎左に拾われ、食物にありつけた。「生きる為には、何でもやる」四郎左の言葉は、少年サメの心に強く響いた。窃盗傷害、殺人と、サメは、男に成長していった。がサメは、次第に指導者としての、四郎左に憎悪と反感をもち、ついに四郎左は、サメの兇刀に倒れた。自信を持ったサメは、侍を志して合戦に加わった。しかし、下賤の出身で誰からも相手にされないと知ると、サメは、戦場で知り合った筑紫の源次らと徒党を組み、京へ戻って掠奪を始めた。源次のやり方は、四郎左に増して、残忍であった。金持、貴族を専門に狙い、女から肌を奪って殺す。衝動的な野獣の暴虐だった。或る夜、尼寺を襲ったサメは、若い尼僧の夜目にも白い裸身に、哄笑を浴びせた。だが、尼僧の成行きを待つ如く静かな面のもつ、異様な美しさに、今迄一度も体験しない恐ろしさを感じた。貧しさゆえに刀で生きようとした、サメの心に、あの見玉尼と呼ばれる、仏尼は、美しい人間の心をよみがえらせたのだ。サメは、見玉尼の静かな面を思って、泣いた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1964年
製作国 日本
配給 東映京都
上映時間 165
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