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「あにいもうと〈1953年〉」(1953)

【DVD発売中】

88点88
東京近郊、多摩川べりの田舎町。荒っぽい性格だが妹への愛は人一倍の兄と、いったん東京に出たものの年下の学生の子をはらんで再び兄のもとへ帰ってきた妹の、深い兄弟愛の世界を描いた作品。1936年、江口又吉脚本、木村荘十二監督のコンビで映画化された、室生犀星の同名小説の2度目の映画化。今回の脚本は成瀬とのコンビは定評のある水木洋子。成瀬の全盛期に撮られた傑作で、彼にとっては最後の大映映画でもある。登場人物の小さなしぐさや軽い目配せを緻密に組み立てて、ドラマの情緒をつかんでいく演出はまさに名人芸の域。成瀬の1953年作品に見られる、「夫婦」「妻」そして「あにいもうと」といったタイトルは、彼の作品世界のよって立つ場所を、これ以上ないほど明確に教えてくれる。

あらすじ

昔は川師の親方として名を売った赤座も、堤防の工事を県にとられて以来落ち目である。それに娘のもんが奉公先で学生の小畑と関係し、妊娠して家に戻って来たので、近頃特に機嫌が悪い。末娘のさんは姉の送金で看護婦の学校へ行っており、うどん屋の養子鯛一と一緒になりたい気持があるが、もんの不始末が知れた以上望みはない。兄の伊之吉はもんを可愛がっていただげに余計腹が立ち、身重のもんへ悪態を浴びせ、居たたまれなくなったもんは居所も知らさず家を出て行く。或日小畑がお詑びに訪ねて来たが、伊之吉はその帰り途小畑を殴ってしまった。鯛一は他の女との縁組を迫られ、さんと駈け落ちしようと決心するが、さんは二人が勇気さえ持っていれば駈け落ちまでしなくてもとたしなめて学校へ帰ってゆく。−−それから暫く赤座の家は、もんもさんも戻って来ず淋しげだった。翌年のお盆、久し振り二人が帰って来た。鯛一は結婚してうどん屋の若主人に納っており、さんも今はその話をひとごとに聞ける様になっていた。伊之吉はもんの顔を見ると相変らず悪態をつき、小畑を殴ったことまで言ってしまう。もんは今ではいかがわしい暮しで毎日を送っている女であり、伊之吉の悪態をも聞き流していたが、小畑が殴られたと聞いては黙っていられなかった。別に今更小畑とどうのこうのと考えはしないが。−−翌日、もんとさんは又家を後にする。兄妹喧嘩はしてもやはり二人は家が懐しかった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1953年
製作国 日本
上映時間 86
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