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「浅草の灯」(1937)

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大正時代から戦前にかけての浅草は、様々な見世物小屋が軒を並べ繁華する大娯楽街だった。そんな浅草を愛した浜本浩の新聞連載小説を原作に、神田駿河台生まれの島津保次郎がメガホンを執った一種の風俗映画である。日本座という劇場を舞台に、コーラス・ガール麗子と画学生の恋、その麗子を利用して成金にとり入ろうとするバーのマダム。それが不成功に終わった腹いせに劇団を潰してしまおうとするマダム夫妻の悪だくみなどが展開していく。しかし見るべきものは物語の語り口というよりも、むしろ浅草という街とバックステージの世界の風俗的ディテールの正確な再現であろう。杉村春子が浅草オペラのプリマドンナ役で歌い踊る。助監督は木下惠介。

あらすじ

これは瓢箪他のほとりに十二階がそびえ立ち、浅草オペラ華やかなりし頃の物語である。通称ボカ長こと、無名の画家神田長次郎は、日本座のコーラスガール小杉麗子の熱烈なファンだった。その麗子に御執心の鉄成金半田郷平は、酒場トスキナのマスターを通じて座長佐々木紅光に話を持ちかけるが、芸術家肌の紅光から手きびしくはねつけられた意趣ばらしに、地回りの仙吉を使って舞台の妨害をさせる一方、紅光の妻でプリマドンナの摩利枝を篭絡して麗子を手に入れようと図った。腕っ節が強く気っぷもいいテナー山上七郎や座員たちは、麗子をボカ長の下宿にかくまって貰うことに一決したが、七郎に首ったけの射的屋のお龍が嫉妬心からそれを仙吉に密告したため、七郎は仙吉一味にかこまれ、あわや大ゲンカと見えたところへ座員の藤田が駆けつけ、楽屋で寝ていた飛鳥井が危篤だと告げた。飛鳥井は当り役「フラ・ディアボロ」の舞台写真を前に、七郎たちの「デイアボロ」の合唱を聴きながら息を引き取った。しめやかな通夜も明け、香取と朝もやが立ちこめる六区に出た七郎は、初めて自分が麗子を恋していることに気がついてボカ長の下宿に向うが、麗子は彼に冷たかった。同じ部屋に暮らすうち、麗子はボカ長の底知れぬ善良さに心をほだされていたのである。無謀にもトスキナに現れたボカ長は仙吉らにつかまったが、お龍の知らせでそれを救ったのは七郎だった。七郎は十二階の灯を見上げながら、お龍に「浅草ともこれでお別れだ。俺は大阪へ行って、もっと充実したオペラをやるんだ」と、淋しそうにいうのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1937年
製作国 日本
配給 松竹=松竹大船
上映時間 76
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