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「偽大学生」(1960)

40点40
当時、文壇の若きリーダーだった大江健三郎の『偽証の時』を、脚本・白坂依志夫と監督・増村保造という大映の気鋭コンビが映画化した作品。学生運動で揺れるT大学歴史研究会に一人の新入生・大津彦一が加わる。リーダー・空谷の保釈運動にも彦一は積極的に参加し、メンバーの信頼を得るようになる。だが警官との乱闘で留置場に入った彼がニセ大学生であることをすでに警察側は見破っていた。やがて研究会の中にスパイ疑惑が発生し、一人だけ早く釈放された彦一がまず疑われる。猿ぐつわで椅子に縛りつけられた彼は発狂してしまう。同年の「日本の夜と霧」(大島渚監督)にも共通する、学生運動を扱った問題作。

あらすじ

T大歴史学研究会のメンバーに一人の新入生が加わった。上級の木田や睦子は彼を疑うことなく仲間として迎えた。リーダーの空谷が逮捕されたのも、この新入生からの伝言で分った。彼、大津彦一は立派なT大生になっていたのだ。翌日から、空谷の保釈を要求する坐りこみが始まった。勿論、彦一は真先にその運動に加わった。警察官と学生のにらみ合いは乱闘に発展した。彦一の奮戦はひときわ目立った。傷だらけの学生たちに混って、彦一も留置場の中で、学生運動の英雄に仲間入りしたような錯覚に陥った。警察側はすでに彦一が偽大学生であることを見破っていた。しかし、国際共産主義の廻し者として学生運動を扇動しているのではないかと激しい取調べを受けた。その結果は、この忙しいのにこんなザコを相手にしているひまはないということで、わずか一時間で釈放された。木田や彦一らの釈放を叫んでで警察署前に坐りこんでいた睦子たち歴研部員は、拍手で彼を迎えた。木田たちが釈放されたのはそれから三日後だった。木田は睦子を愛していた。睦子の父親は戦前T大の教授で、今は時代の流れに逆流するようにひっそり売り喰い生活に甘んじていた。数日後、釈放された空谷を歓迎するコンパが歴研部員たちで開かれた。その席上、空谷から身辺にスパイがいるという発言があって皆を驚かした。木田には一瞬彦一の顔が浮かんだ。彼だけ一時間で釈放されたり、今もコンパの中途で睦子を誘って全学同の本部へ連絡と称して抜け出している。早速、学生簿を調べたが、大津彦一の名はない。帰った彦一は、木田たち歴研部員数人の手によって監察され、激しい訊問にかけられた。彦一はただ母親に不合格だと言えなくて偽大学生となったのだが。猿ぐつわをされ椅子に縛りつけられた偽大学生大津彦一は発狂した。それを監視しながら木田と睦子は抱擁を続ける。彼らも共に発狂しているのだろうか。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1960年
製作国 日本
配給 大映東京
上映時間 94
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