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「黒い河」(1957)

【DVD発売中】

76点76
アパートとは名ばかりの朽ち果てた長屋・月光荘。その立ち退き問題をめぐって繰り広げられる様々な人間模様を、一人の大学生の目を通して辛辣に描き出した異色の人間ドラマ。自分を犯したヤクザに惹かれる思いを断つために、殺意を抱く若い娘の心理を、コントラストの強いモノクロ画面に煮つめた演出パワーが特筆ものだ。撮影を担当したのは、小津作品でも知られる名手・厚田雄春。

あらすじ

アパートとは名ばかりの朽ちはてた長屋「月光荘」−−内妻をパーマネント屋に勤めさせているグウタラ者の岡田、愚連隊の親分・人斬りジョーの手下の坂崎と山口、朝鮮人で共産党員の金、ポン引の栗原など余り柄がよくない連中が住んでいる。ある日、ここへ大学生の西田が引越してきた。彼は引越すときに道を訊ねた静子というレストランのウェイトレスと親しくなった。その頃、月光荘の家主幹子は、人斬りジョーを通じて二百四十万円でアパートを買取りたいとの相談をうけていた。買手は黒木という男で、近くの米軍基地を目当てにキャバレーを開くらしい。ジョーは坂崎らを使って三千円を餌に住人たちに立退きを迫った。西田や金は頑としてはねつけた。坂崎らは住人の個個に買収を始めたが、その手始めに一夜アパートで酒盛りをした。その翌朝、、西田は静子がジョーと一緒に泊っていたのを知ってギクリとした。翌日、彼は静子に会い、その告白を聞いた。あの夜、静子は西田のもとへ行く筈だったが途中でジョーの奸計にあって体を自由にされたというのだ。語り終えた静子は西田への愛情に、ジョーを殺して自分を取戻すのだと誓った。翌日、新川組という土建屋の若い衆が突然アパートを取壊しにきた。西田が村役場へ訴えに行くと意外にも自分の印鑑が立退同意書に押されてあった。ジョーのインチキと知って戻るがアパートは半分近く壊されていた。しかもジョーは、あくまで立退きに応ぜぬ西田に、今日は自分の誕生日だから祝いに来てくれと呼出しをかけた。その使いに来た坂崎を締上げて西田は、アパート跡に温泉マークが建つことを白状させた後、ジョーのいる新川組の一家を訪れた。酒盛りの最中、果して立退きのことで不穏な空気が流れたが、同席した静子の取りなしで収まった。その後、ジョーと彼の情婦幸子、それに静子と四人連立って西田は表へ出た。折からの雨。そのとき静子は、ジョーに接吻すると見せかけ、彼を走ってきたトラックめがけて突きとばした。ジョーは轢かれて死んだ。西田の胸に静子は涙の顔を埋めた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1957年
製作国 日本
配給 松竹=松竹大船
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