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「序の舞」(1984)

【DVD発売中】

50点50
明治時代に画家として、また未婚の母としてひたむきに生き、女性として初めて文化勲章を受けた上村松園をモデルに、その一生を描いた作品。メロドラマになりがちなテーマを、中島貞夫が清楚で気品あふれる画風で骨太の女性映画に仕上げた。名取裕子が好演。

あらすじ

安政五年、洛北・大宮村の貧しい農家の娘・勢以は、京都の葉茶屋ちきりやに養女に出された。彼女が二十歳の年に、養父母・島村夫婦が相次いで世を去った。翌明治三年、勢以は婿養子をとったが、五年後には夫に先立たれ、二十六歳という女盛りで二児をかかえた後家になった。それからの勢以は、長女・志満と次女・津也を女手ひとつで育て、生計を支えるために、自ら女を捨てようとする。やがて時は流れ、絵に熱中しはじめた津也は、図画の西内先生のすすめもあって、小学校を卒業すると京でも有数の松溪画塾へ通うことになった。明治二十三年、第三回内国観業博覧会に津也が出品した「四季美人図」が一等褒状を射とめた。すでに師・松溪から「松翠」の雅号を授かっている津也は、早くも天才少女と騒がれる身となっており、勢以も津也の絵の情熱と才能を認めざるを得なくなった。その頃、西内先生がヨーロッパへ留学することになり、津也にとって大きな悲しみとなる。また、村上徳二という青年が松溪塾に入塾し、彼は津也に好意を抱くようになった。松溪の千枚描きに立会った日の夜、津也は師の誘いのままに、料亭へ出向き、抱かれる。徳二に片想いをしていた志満は、本家ちきりやのお内儀のすすめで西陣へ嫁いで行った。津也は絵に打込み、次々と賞をかち取っていったが、画塾内では松溪と津也の仲を言いたてるものもいた。月日が流れ、津也は妊娠した。それに気づいた勢以は、娘を激しく責め、相手が松溪と知り、津也に絵を禁じた。そして勢以は、津也の子を里子に出すことに決め、祇園で芸者をしていた喜代次を頼る。その喜代次の手引で、見知らぬ土地の農家で女児を出産した津也は、京には帰らず、東京にいる徳二を頼って行った。徳二との暮しの中でも、津也の中の絵への想いは捨てきれず、偶然、新聞で見かけた“西内太鳳ヨーロッパ帰朝展”の報に、津也は出かけて行く。そして、徳二に置手紙を残し、西内の滞在する長浜の昌徳寺に走った。西内は弟子にしてほしいと頼む津也のひたむきさに心動かされ、京に戻ると彼女に一軒の家を与えて絵の修業を続けさせた。明治二十九年、津也の「人生の春」が第五回日本美術院展の第一等に輝いた。光彩堂の招きでとある割烹に出向いた津也は、その席で松溪と再会する。かたくなな態度をとっていた津也も、老いた旧師が涙を流すのを見て、再び彼の腕の中に沈んで行った。津也はまた妊娠し、そのことを松溪に告げる。すると思いのほか“誰の子か”と冷たく突き放された。松溪は津也が太鳳の世話になっていることが面白くなく、ある展覧会の審査院として彼と顔を合わせた際、暴言を吐きちらした。津也と松溪の関係が続いていたことを知って激怒した太鳳は、津也に破門を言い渡す。津也は福井の高浜へ出かけ、おろし薬を飲んだ。漁師の電報で勢以は、すべてを許し、津也はちきりやで男の子を産んだが、父なし子を生んだことで世間の風当りはひどかった。三ヵ月後、津也は破門を許されて画壇に復帰した。大正七年、第一回文展の会場で、松翠の「母子」が注目を集めていた。そして、その前に立ちつくす松溪の姿があった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1984年
製作国 日本
配給 東映
上映時間 129
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