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「おぼろ駕籠」(1951)

80点80
お正月興行の作品として、当時の大スターを起用して製作された作品。深川の信濃屋伝右衛門の寮で、女中が殺された。現場の状況から女中の幼なじみで、旗本の次男・小柳進之介が嫌疑をかけられる。進之介は無実を主張して逃げるが、家名を気にする身内のものたちから詰め腹を切らされようとしていた。一方、岡っ引きの亀蔵は現場で女物の紙入れを拾う。この紙入れは殺された女中と大奥に上がることを争ったライバル三沢のもの。これを知った夢覚和尚と本多内蔵介は真相の究明に乗り出す。伊藤監督の語り口は導入部の移動撮影から観客をひきつけ、緩急自在。

あらすじ

深川の淋しい埋地を、灯もつけずに行ったおぼろ駕篭が二提あった。その夜深川の信濃屋伝右衛門の寮で、御殿女中のお勝が殺されて近くの堀川へその屍骸が投げ込まれていた。現場にあった脇差しから、その夜寮へ訪ねて来たお勝の幼馴染みで、旗本の次男小柳進之助が下手人として嫌疑をかけられた。進之助は無実を主張して逃げたが、家名を重んずる兄や叔父たちにつめ腹をきらされようとして追われていた。町方の岡っ引き門前の亀蔵は、現場で、かたばみの紋のついた女物の紙入れをひろった。それは殺されたお勝のものではなくお勝の同僚で、最近お勝と共にどちらかが中臈にあがるだろうと噂をされていた大奥の女中三沢の持ち物であることが、お勝に仕えていた、信濃屋の娘お蝶によって明らかにされていた。昔信濃に使われていて、今はコソ泥の蝙蝠の吉太郎は、この夜寮にしのび込んでいて、侍の供を二人つれたもう一台のおぼろ駕篭が、やはり信濃屋の寮へ来て、去って行ったのを知っていた。吉太郎は、粋な雲水坊主として知られている夢覚和尚と、汚れ切った世をすねた旗本本多内蔵介とにこのことを注進した。権勢を傘に着て悪政をほしいままにしている沼田隠岐守の一派が、奥女中三沢を中臈に立てて、更に将軍の内懐に食い入ろうと三沢をおだてあげて競争者お勝を殺させた手の中は充分に読めたが、相手は大物であるため仲々手のつけようがない。亀蔵でさえ、重大な証拠を握っていながら、親方の典蔵におどかされて、おじ気がついて来ていた。夢覚和尚に岡惚れしている深川芸者のお仲は、料亭四季庵で、はからずも証拠の紙入れを種に、御用人生島が三沢を口説いている現場をおさえた。お仲は、女は女同士の戦法で、三沢の許婚小野田数馬の自殺した顛末を説明したので、三沢は初めて自分が沼田一味の傀儡に使われた人形であったことを悟り、夢覚和尚が沼田に直談判に乗り込んで来たとき生証人となった上、自殺して果てた。進之助は無実を証明されるとともに、この事件で、信濃屋のお蝶という恋人を得たが、お仲は夢覚和尚が一向に手ごたえがないのを、じれったがるのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1951年
製作国 日本
配給 松竹=松竹京都
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