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「夏の妹」(1972)

【DVD発売中】

64点64
本土復帰直後の沖縄にロケをして作られた青春メロドラマ。一人の少女の視点を通じて、沖縄と本土との関係が考察される。沖縄の風景が大変美しく、ヒロインを演じる当時14歳の栗田ひろみの愛らしさが評判となった。大島渚監督にとって、最後のATG作品。

あらすじ

夏休みも近い日、素直子の許に一通の手紙が届いた。大村鶴男という沖縄の青年からで、彼の父は、彼が小さい時死んだものだと思っていたが、最近、母から素直子の父菊地浩佑が鶴男の父らしいと知らされたというのである。そして夏休みには沖縄へ遊びに来てほしい、と結んであった。夏休みが来た。素直子は彼女のピアノの家庭教師で父が再婚しようとしている若い女性、小藤田桃子に鶴男のことを打ちあけ、鶴男を探しに二人で沖縄へ旅立つ。姉妹のように仲むつまじい女同志の船旅。船中で二人は、桜田拓三という老人と知り合った。彼は戦前、戦中の沖縄への熱い憧憬と深い贖罪の念を抱き、誰か自分を殺してくれる相手を探しに沖縄へ行く、と言うのであった。やがて船は那覇へ着いた。そこで素直子は沖縄語を観光客に教えて金を稼いだり、ギターで流す一人の若い男と知り合った。彼は、実は鶴男なのだが勿論お互いに気付かない。二人は親しさを増していった。兄妹のように、恋人同志のように。一方、桃子はホテルに届けられた鶴男から素直子宛の手紙を受取り、素直子に黙って、ひそかに鶴男に会った。鶴男は桃子を素直子と思い、また桃子は、鶴男に惹かれていき、人違いであることを告白出来なくなる。鶴男は素直子に兄を探して欲しいと頼まれることにより、妹だと思っていた女性が父であるかも知れない人の婚約者であることを知り、桃子を犯す。その現場、優しく激しい二人のくちづけ、何も知らない素直子が物陰から目撃していた。桃子のバカヤロー、ギターのバカヤロー、鶴男を探しもしないであんなことを……素直子の瞳には大粒の涙が光っていた。その頃、浩佑は那覇で国吉に会い、又鶴男の母ツルとも再会していた。浩佑は大学時代、親友の国吉から妹だといってツルを紹介され、国吉が学生運動で入獄中にツルを犯した。国吉は出獄してツルからそのことを聞き、彼もまたツルを犯した。男二人の間に座って、今は見事な女丈夫となったツルはもう心揺らぐことなく静かに微笑む。その席に照屋林徳が現れた。彼は名人といわれる琉歌の老歌手で、沖縄戦において体験した日本軍の残酷行為に深い怨みを抱き復讐の一念に燃えている男である。桜田拓三も同席した。殺されたい男、殺したい男桜田と照屋が対峙する。桃子、鶴男、素直子も加わり、一同に会した。日本と沖縄の戦中、戦後史を貫く彼らの愛と憎しみと怨念が激しく葛藤する。翌日、浩佑と桃子がひと足先に帰京。素直子も帰京すべく鶴男に別れを告げる。船中から素直子は一隻の小舟に乗っている桜田と照屋を見た。やがて、どちらかが、どちらかをつき落したか知らないが、一人が海に沈んでしまった。あとには沖縄の真赤な夕日が輝いていた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1972年
製作国 日本
配給 ATG=創造社
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