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「少年〈1969年〉」(1969)

【DVD発売中】

77点77
実際の事件に取材した大島渚の名作。彼の主要モチーフの一つである“少年”をタイトルに冠し、全面展開した。戦争のため人生を棒に振ったと信じている酔っ払いの父親と彼の後妻の気の強い女、少年とその幼い弟、この4人の家族が当たり屋を続けながら日本を縦断する。実際に車に当たるのは義母と少年で、父親は示談交渉でスゴ味をきかせるだけだ。少年はこの犯罪に呵責の念を感じているが、一家を支えているという責任感に泣き言は言わない。やがて一家は逮捕されるが少年は黙秘を続ける……。北の町で弟のチビを連れ、雪だるまを相手にアンドロメダ星雲から来た正義の味方を空想するくだりに少年の純粋な願いがほとばしる。家ーの戸口にはためく黒い日の丸や、酒樽を積み上げてしめ縄をはった室内装飾など、大島組の常連・戸田重昌の、低予算を逆手にとった特異な美術が、シンボリックな効果を上げている。常にアクチュアルな問題に取り組む大島が全国縦断ロケを敢行した苛烈な“ロード・ムービー”で、ヴェネチア映画祭でも絶賛を博した。

あらすじ

秋風のたつ夕暮、無名地蔵のある広場で、ひとり“泣く”練習をしている少年がいた。翌日、その少年の家族四人が街へ散歩に出た。やがて交差点に来ると、母親が一台の車をめがけて飛びだし、続いてチビを抱いた父親が間髪を入れず、駈けつけ、叫んだ、「車のナンバーはな……」。傷夷軍人の父、義理の母と弟のチビ、少年の家族の仕事は、病院の診断をタテに示談金を脅しとる当り屋だった。二回目の仕事が成功した時、父の腹づもりが決まった。少年を当り屋にしての全国行脚がそれだった。少年は、父母からかわるがわる説得され、家族とともに祖母の家を後にした。一家が北九州に来た時、母が父に妊娠したことを告げた。が、一家の生活は、彼女に子供を産ませるほどの余裕を与えなかった。父は母に堕胎を命じ、一家はその費用を稼ぐために松江に降りたった。その夜父は芸者を呼んで唄い騒いだ。少年は、土佐節を聞いているうちに、高知の祖母に会いたくなった。が、高知に帰るには小遣が足りなかった。やがて、一家は福井に来た。そこで新しい運動帽をかぶり、なんのわだかまりもなく車に当る少年。その姿は、父母にすら恐怖を覚えさせるほどだった。父は母が病院へ行くのに少年を監視役としてつけた。が、母は少年に腕時計を買い与え産婦人科へは行かなかった。仕事の旅は依然として続き、一家は北陸路を辿り、山形に着いた。この頃、母はつわりに襲われ、少年は母と二人で父に内緒の仕事をした。一家が小樽へ着いた時、父母が少年を奪い合って喧嘩をした。父はいつものように母を殴り、雪に母の血が散った。その時、少年は、時計のくさりで、手の甲を血がでるほど掻きむしった。その意味を悟った父は、時計を投げすてた。チビが、その時計を拾いに道へ出た瞬間、一台のジープが電柱に衝突。少年は、担架で運ばれる少女の顔に一筋の血を見た。雪の中には少女の靴が、ひっそり残っていた。少年の一家が逮捕されたのは、春が芽ばえはじめたころだった。少年は、父母とともに犯行の一切を否認した。が、翌日護送される車中で、北海道の事件を思い浮かべて、涙をこぼした。あの少女の死は、少年たちの仕事が絶対的に悪であると啓示した。少年は、そのように生きなければならなかった自分の運命に涙を流した。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1969年
製作国 日本
配給 ATG=創造社
上映時間 97
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