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「野菊の墓」(1981)

【DVD発売中】

71点71
澤井信一郎の監督第1作で、松田聖子の映画デビュー作。歌人・伊藤左千夫の原作は、これが3度目の映画化である。木下惠介による最初の映画化と同様、巡礼の老人の回想という形で物語は始まる。醤油製造業の旧家に生まれた政夫は、病弱な母の世話をするいとこの民子に恋心を抱く。しかし、世間の醜聞を恐れて二人は引き裂かれ、民子は無理矢理に結婚させられ、やがて帰らぬ人となる。澤井監督は新人らしからぬ落ち着いた演出によって、この古風な物語をしっとりと落ち着いた叙情的作品に仕上げた。この後、薬師丸ひろ子、原田知世、石原真理子、後藤久美子と澤井は次々にアイドルを起用し、彼女たちの新生面を引き出す魅力的な作品を作っていく。

あらすじ

坂東三十三ヵ所お礼所の一番・杉本寺の石段を踏んでゆく一人の老人がいる。忘れ得ぬ人の魂の回向を思い立ち遍路の旅に出た斎藤政夫老である。老人の脳裏に、半世紀以上も昔の思い出があざやかによみがえっていた。田園風景が美しい江戸川べりの村。政夫の生家は、醤油の醸造業を営む旧家だ。政夫が十五歳のとき、病弱の母きくの世話をするため、従姉で二つ歳上の十七歳の民子が家に住むようになった。以来二人の仲は親密になり、姪の初子や奉行人の間で噂にのぼった。きくは奉行人をいましめ、二人をかばうが、なるべく会わないようにと話す。それが二人の思いを淡い恋心に変えていった。二人の仲を中傷する周りの声は強まり、心配したきくは、政夫を予定より一ヵ月早めて中学の寮に入れることにした。一方、正月には帰るという政夫を待つ民子に縁談が持ち込まれた。拒む民子だが大人たちは一方的に話をすすめる。そのやり方に憤慨した女中のお増は、政夫にその話を知らせた。やっとのことで花嫁行列にかけつけた政夫は、民子の車めがけて、りんどうの花を投げつけることしか出来なかった。それから数ヵ月後、政夫のもとへ帰宅するようにときくから電報が届いた。家に戻った政夫に民子の死の知らせが待っていたのだ。民子は流産し、嫁ぎ先で冷たい仕打ちにあって実家に戻され病床についたまま、帰らぬ人となったのだ。政夫は激しく泣いた。時は流れた。今、政夫は残り少ない人生を、民子の清らかな魂の故郷へむかって巡礼の旅に出ようとしていた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1981年
製作国 日本
配給 サンミュージック=東映東京
上映時間 91
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