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「果しなき欲望」(1958)

【DVD発売中】

77点77
敗戦時、一人の軍医がひそかに埋めた時価6千万円のモルヒネ発掘をめぐって、軍医の旧部下と称する4人の男たちと、今は亡き軍医の妻と称する女が繰り広げる色欲と物欲のドラマ。そこに長門裕之が演じる失業青年が絡み、恋人の浮気を警戒しながらも、自分は妖艶な渡辺美佐子扮する志麻の誘惑に簡単に落ちてしまうところがおかしい。西村晃、小沢昭一など今村作品ではおなじみの芝居巧者が、作品を盛り立てている。今村監督はこの欲にとりつかれた亡者たちが自滅していく様を、粘り気のあるエネルギッシュな演出で描く。

あらすじ

八月十五日−−ある駅のホーム。胸に星のマークをつけた五人の奇妙な人物が集った。彼等の目的は終戦の日に、軍医橋本中尉がこの町の防空壕に埋めたモルヒネを掘出すことだった。橋本中尉は十年後に従卒三人と山分すると約束していた。集った五人、それは約束より一人余計だった。すでに死亡した橋本中尉の妻と称する妖艶な女志麻。薬剤師の中田、大阪の中華料理店主大沼、ヤクザの山本、それに中学校の教師と名乗る沢井。目的の防空壕の場所には肉屋が建っていた。彼等は二十米離れた所の空屋を不動産会社の名目で借り、地下を防空壕まで掘ることにした。強欲な家主金造は長男悟を雇わせる条件で家を貸した。五人は工事費を作るため一たん帰郷した。抜けがけを狙う大沼は一足先に帰って沢井と組もうとしたので、中田や志麻との間が険悪になった。ところが帰阪した山本が強盗を犯したため、四人は急いで穴を掘り始めた。悟は肉屋の娘リュウ子と恋仲で、男達は二人の密会をみて刺戟され、志麻に挑んだ。男達をハネつけた志麻は一番穴を掘った者に自分をやるといった。男達が留守の晩、悟は志麻に誘惑された。その時、突如山本が現れ、彼女に躍りかかった。彼等の家が後三日で壊わされることになった。穴掘りが肉屋の下に来た時、反目し合っていた山本と沢井が格闘し、沢井は山本を殺した。遂に沢井はドラム缶を発見した。が、落ちて来たドラム缶の下敷きになって惨死した。志麻は悟をそそのかし、大沼と中田を殺し、モルヒネを一人占めしようと企んだ。その頃、大沼の所に興信所から調査書が届いた。それによって橋本中尉の内妻だった志麻が、いまは中田と同棲していることがわかった。余計な一人は中田だった。それを気付いた時、中田の手にはナイフが光っていた。にらみ合う二人に志麻は毒入りのビールを飲ませて殺した。これをみた悟は急を町内に知らせた。豪雨の中を志麻はモルヒネを持って逃げた。が、工事中の橋の上から、逆まく川に落ちて死んだ。翌朝、川におびただしい死魚が浮いて、その白い腹を初秋の陽射しにさらした。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1958年
製作国 日本
配給 日活
上映時間 101
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