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「さらば夏の光」(1968)

【DVD発売中】

63点63
日本のヌーヴェル・ヴァーグを牽引していた吉田喜重監督が、欧州7ヵ国ロケを敢行して撮り上げたロード・ムービー仕立ての異色ラブ・ロマンス。ヨーロッパ各地の美しい風景と美旋律のサウンドトラックに包まれて大人の恋が紡ぎ出される。リスボンで日本人の女と巡り会った主人公の男。彼女は人妻で、夫と共にパリで暮らしているという。ある日、彼女がノルマンディーへの二人旅に誘ってきた……。

あらすじ

一九六八年の初夏。川村信は、明るい太陽の下、花の咲き乱れるリスボンの広場を歩いていた。学生の頃、長崎の博物館でみた寺院の写生図が、彼をヨーロッパの寺院に誘ったのだ。彼はこの地で、工芸品のバイヤー鳥羽直子とめぐり会った。直子は、ビジネスのかたわらに、寺院の案内をかって出た。スペインの街角で、二人は、厳しく口論しながら通抜けていった男女に会った。それは、姦通した妻を刺した男と義妹の争いだった。その争いを見ながら、「妻の不貞を許せない、真実は神が知っている」との男の叫びを、川村に伝える直子の表情は硬ばっていた。直子は米国籍の夫とパリで暮していた。母と弟を失った直子にとっての長崎は、終戦の夏と共になくなってしまったのだ。そう告白すると直子は、川村から離れていった。川村は、シャンゼリゼのカフェで、夫と話している直子と再びあった。家に招かれ、ロアール河畔の離宮に案内された。川村は、直子の義妹メアリに「姉さんを愛して上げて下さい」と言われ驚くのだった。やがて、川村は、直子に誘われてノルマンディに旅をした。岬にそびえたつ教会は、直子にとっては想い出の場所でもあった。直子は、夫と結婚した時訪れた所で、川村と別れようと思っていた。だが、その告白は川村のうでの中で呟きとなり、夜のとばりが教会の姿をかき消してしまった。ストックホルムを訪れた時、川村と直子は激しく燃え上がった。「ぼくが探求していた寺院は、あなただった。あなたの心の中にこそ、僕のさがしていた、愛があったのです」という川村の言葉は、愛の飾りではなかった。日本を発って、どれだけの時間がすぎたろう。そんな思いがよぎる。翌朝、直子は川村を残し、だまって去って行った。しかし、川村には淡い期待があった。直子が夫と別れると言っていたからだった。直子は離婚した。ローマにいるという直子を川村は追った。だが、直子を自分の心につなぎとめておく、何ものもないことを川村は知るのだった。そして、西に傾いた太陽が、トラヤヌス神殿の廃虚に佇む二人の姿を照らしていた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1968年
製作国 日本
配給 現代映画社
上映時間 97
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