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「また逢う日まで」(1950)

【DVD発売中】

66点66
ロマン・ロランの小説『ピエールとリュイス』を水木洋子が脚色し、巨匠・今井正が監督した名作。学生・田島三郎と画家のタマゴ・小野螢子は、空襲警報の鳴り響く地下鉄のホームで知り合う。二人はお互いの境遇を慰め合ううちに恋に落ち、結ばれるが、再度の逢いびきは三郎の兄嫁の急病と螢子の爆死によって阻まれ、三郎もまた出征したまま二度と帰ることはなかった……。今井正監督はこのラブ・ストーリーを力むことなく情感豊かに描き上げることによって、戦中の若い恋人たちのやり場のない怒りとむなしさを浮き彫りにし、日本映画史上最高の恋愛映画に作り上げた。戦争の傷がまだ残る時代のリアリティーが、単なる叙情やセンチメンタリズムを越えた血の通ったものにしている。あまりに有名なガラス越しの接吻シーンのはかない美しさは、観る者の心を激しく揺さぶる。久我美子と岡田英次が若い恋人たちに扮し、初々しい魅力で好演した。

あらすじ

昭和十八年。日本に住むすべての人々は、狂気に似た戦争のるつぼの中へ巻き込まれた。三郎と螢子が、はじめて逢ったのは空襲警報の鳴り渡る街の地下鉄のホームであった。もみ合う人、人、その中で押し倒された若い二人の指がふとふれあった。盲目にされている戦争の最中で、人間としての青春の、愛情の喜びを得たいと願う、それは美しい心のふれ合いだった。燃え上がる愛情は日に増した。だが、時は一刻の猶予もなく、戦争の遂行のために進んでいた。三郎は母のない冷厳な法務官の息子である。兄二郎は、かつて夢多い青年であった。だが今は陸軍中尉の軍服がぴったりと身についた青年将校で、三郎にとっては悲しい存在であった。長兄の一郎は戦争で死に、その妻の正子は、三郎の家ではあわれな奴隷であった。父も兄二郎もそれはあたり前だと思っていた。この家庭、この雰囲気、三郎はたまらなかった。それに反して、螢子の家庭は、母と二人、螢子の先生のアトリエに留守番として住んでおり、螢子は小さな画家の卵として、貧しい生活のために、似顔を画いていたし、母は工場に勤め、この母と子はあふれるほどの愛情に満ちていた。三郎は明るい螢子と逢っているときだけが、幸福を身に感じるときだった。だが二人は、目に見えない戦の大きな黒い手の中で、やはり身動きできない二人だったのだ。三郎の友人は次々と召集された。二人は追われる様な日々を過ごした。そしてついに三郎に赤紙が来た。あと二日、螢子の描いたつたない三郎の肖像画が、ただ一つの思い出として残る運命の日がくる。最後に逢う日、三郎の姉正子は防空訓練で倒れ、亡き一郎の子を流産した。三郎は螢子との約束の場所へ行けなかった。その頃その場所、爆弾によってふきとばされ、螢子の若い命はあっという間に散ってしまった。三郎の征く日は更に一日早まった。螢子の見送りもなく、征く三郎、人間としての限りない平和と希望を求めた三郎は、軍用列車で運ばれる。−−昭和二十年。今は亡き三郎の肖像画は黒い布でつつまれて、戦いの終わりは告げられていた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1950年
製作国 日本
配給 邦画マイナー=東宝
上映時間 111
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