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「男と女 人生最良の日々」(2019)

ひたすらに、せつない。

90点90点   2020/2/20 00:00 by James

実は人生の最後に見る3本の映画を決めていて、「男と女」はその中の1本です。他愛のない男女の恋物語ですが、映像、音楽、洒落た演出、クルマの使い方、そして何よりもアヌーク・エーメの引き込まれるような美しさ。何度見ても飽きません。

続編が20年後に同じキャストで作られましたが、これは何とも言えない変な映画でした。今回の映画でも2作目の内容は殆ど触れられません。(正確に言うと1か所だけだと思います)

今回はそれからさらに34年後の話です。事前に1作目と2作目を見直して、きっちり予習してから出かけました。

ジャン・ルイとアンヌの80代後半の再会、回想、心の触れ合い。アヌーク・エーメはこの歳になっても相変わらずなんと美しいこと!そして痴呆老人を演じるジャン・ルイ・トランティニアンが上手い!
1作目の名場面がたっぷりと使われ、本当にあった話のドキュメンタリーを見ているかのような錯覚に襲われます。そういう意味でこの映画は「いい映画」とか「面白い映画」といった形容の外にあって、とにかく見ていてひたすら「せつない」映画です。実らなかった愛の切なさ、老いて人生を振り返る切なさ、やがて訪れる死を意識する切なさ、息子や娘に命が継がれていく切なさ。
「一人だと自分の死が怖い。二人だと相手の死が怖い。」

それにしても、この映画に出てくる老人ホームは何と魅力的なんでしょう。フレンチウィンドウのついた優雅な建物、森に囲まれた広い芝生の敷地に置かれる籐の椅子とソファ(日本の老人ホームなら絶対に白いプラスチックの椅子だ)、円形の室内の中央にプール、壁に大きな絵画。ここなら入ってもいいぞ。さすがフランス、本当にこのような施設がある?それとも映画用のセット?あるいは日本にも(私が知らないだけで)富裕層向けに似たようなものがあるのかな?

あと、この映画もクルマの使い方が上手い。白い184番のマスタング、フレンチブルーのアルピーヌA110、グレーの2CVがいい演技をしています。クロード・ルルーシュは本当にクルマが好きなんですね。
映画の後半で何と彼の幻の短編映画「ランデブー」が使われています!早朝のパリの市内を彼女に会いに行くため片っ端から信号を無視して物凄いスピードで疾走する映像をワンカットで、クルマの主観映像だけで描いた9分ほどの作品です(素晴らしいエンジン音はフェラーリ275GTBと言われています)。「男と女」とこの作品は直接関係がないのですけれども、若き日のジャン・ルイがアンヌに会いに行くシーンとうまく重なって使われており、クルマ好きにはたまりません。
そうそう、クルマで遠くまでドライブするとき、「男と女」のサントラはとても素敵なBGMになります。気分はジャン・ルイですな。

ああ、好きな映画なので、やはり語り過ぎてしまった。
ジャン・ルイ、アンヌ、Saravah!

これぞ、フランス映画!...

奇跡の映画化