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「アルキメデスの大戦」(2019)

理屈と屁理屈

60点60点   2020/5/15 00:00 by ハナミズ

『永遠の0』の山崎貴監督が三田紀房の人気コミックを映画化。
第二次世界大戦前夜の日本。
世界一の戦艦建造を推進する一派と山本五十六率いる航空母艦派に分かれて勢力争いを繰り返す日々。
強引な手腕で押し通そうとする上層部に対抗しようと目をつけた天才的数学者の若者・櫂直(菅田将暉)。
100年に一人ともいわれる頭脳明晰ぶりで次々と大戦艦製造を押し切ろうとする軍部を論破してゆく過程が小気味よい。

忌み嫌う軍と対抗し、あくまでも一人の市民として居たかったはずの男がなし崩し的に戦争に巻き込まれてゆく悲劇、ひいては現在にも通じる政治の暗部を描きたかったのだろうか。

変人キャラを演じる菅田将暉が実に楽しそう。
ちぐはぐなコンビを組まされる柄本佑との掛け合いは面白いが、会議のシーンでの重鎮らの説明くさいセリフ回しはいささか興ざめ。

紅一点の尾崎鏡子(浜辺美波)の魅力は伝わるが、あくまでも添え物に終始しているのが旧態依然としていて物足りなさを覚える。
つまるところ進歩的な人物を描こうとしながら内容の古さが限界を示すようだ。

アッと驚く理屈でひっくり返すラストはもはや屁理屈ではなかろうか。
米国人の語る原爆投下の正当性に通じる居心地の悪さを感じてしまった。

加えて言うなら天才数学者の比喩としてアルキメデスと題名に付けたのだろうが、強引でも古代ギリシャと絡めた演出が欲しかった。

大艦巨砲主義

ナイスコンビ!