「野獣の青春」(1963)

【DVD発売中】

75点75
白黒画面の中、コップに差された一輪の花だけが赤く浮かび上がっている。清順美学の真の誕生と、当時の映画ファンを躍り上がらせた作品で、この冒頭シーンから鈴木清順の特異な色彩感覚がきわ立ち、最後まで息もつかせぬドラマ(反ドラマ?)運びになっている。暴力団つぶしと殺人犯を追う元刑事の活躍を描いた大藪春彦の『人狩り』が原作で、ガラスを使った室内セット効果、あるいは映画館の裏にある暴力団事務所など、清順世界がたっぷりと楽しめる。“きわめて耽美的な暴力映画(石上三登志)““日本映画史上もっともアメリカン・ハードボイルドに近づいた作品(小林信彦)“と絶賛されている。

あらすじ

連れ込み宿で男と女が死んでいた。男は竹下公一、現職の刑事だった。数日後、盛り場のチンピラたちをやっつけてまわるカッコいい風来坊が現われた。たちまちジョーというその男は野本組の用心棒におさまりのし歩いたから、野本組と睨み合っている三光組の小野寺や武智をひどく刺激した。野本組には麻薬につながるコールガールの大がかりな組織があり、それを操る謎の支配者がいるらしい。竹下の四十九日の法事の日ジョーが未亡人のくみ子に挨拶しているのを刑事の広川は見た。ジョーはもと刑事、ふとしたことから免官されグレてしまったのをなにくれとなくかばったのが同僚竹下だった。その夜、いつものように野本らと麻薬商柴田との取引きがあった。帰途柴田は武智に売上げの一千万円を強奪された。柴田が刑事時代のジョーを思い出し、たちまちとりおさえられたジョーはむごい拷問に苦しみうめいた。ジョーが三光組に秘密を教えてやったとドロを吐いたから、逆上した野本は武智を射殺させた。すぐに三光組が逆襲して来て凄絶な射ち合いとなった。乾分たちが次々と倒れ、野本の一弾は小野寺の胸を貫いた。血まみれの小野寺は爆弾を積んだ自動車で野本組の真中へ突っ込んだ。建物が人が一瞬のうちに吹っ飛び、硝煙がうすれると動いたのはジョーと野本だ。「竹下を殺ったのは誰だ」野本をしめあげたジョーは絶叫した。息もたえだえの野本の口からもれたのは意外にもくみ子。野本の情婦だった彼女は警察の逆スパイとなって竹下と結婚し、コールガールを牛耳っていた。それがバレそうになったので、麻薬中毒のコールガールと竹下を無理心中させたのだ。竹下の家にのりこんだジョーの眼ははげしい憎悪に燃えていた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1963年
製作国 日本
配給 日活
チケット 前売りチケットを購入する