「どですかでん」(1970)

【DVD発売中】

67点67
山本周五郎の小説『季節のない街』を映画化した黒澤明監督作品。電車バカの六ちゃんを狂言回しにして、牧歌的な夫婦交換の話、浮浪者の親子の話、悪妻の話など、市井の人々の8つのエピソードが、互いに入り組みながら現実の時間の推移を軸にして展開していく。木下惠介、市川崑、小林正樹そして黒澤明という日本を代表する巨匠4人で結成した“四騎の会“の第1回作品で、黒澤初のカラー作品でもある。ギラギラした人間像を描き続けてきた黒澤が、ここでは彼本来のやさしさに立ち戻り、市井の人々への温かいまなざしを投げかけ、観る者の心を和ませた。芸達者ぞろいの演技陣のなかでも、渡辺篤と伴淳三郎の好演が光る。

あらすじ

電車馬鹿と呼ばれている六ちゃんは、てんぷら屋をやっている母のおくにさんと二人暮しである。六ちゃんの部屋には、自分で書いた電車の絵がいたるところに貼りつけてあった。彼は毎日「どですかでん、どですかでん」と架空の電車を運転して街を一周する。それが彼の仕事なのである。六ちゃんを始めとする、この街の住人たちは一風変った人たちばかりだった。日雇作業員の増田夫婦と河口夫婦がいる。二人の夫はいつも連れ立って仕事に出、酔っぱらっては帰ってくる。二人の妻も仲がよかった。ある日酔って帰ってきた二人はそれぞれの家を取り違えて住みつき、やがてそれが飽きると、もとの家に帰っていった。島悠吉はユニークな人物だ。彼の片足はもう一方の足より短かく、その上猛烈な顔面神経痙攣症の持病があった。彼のワイフはドラムカンのような図太い神経と身体の持ち主で、島さんのところにお客が来ても、接待はおろか、逆に皮肉をいうような女だった。かつ子という不幸な娘がいて、彼女は昼ひなかから酒をくらっている伯父の京太のために一日中つらい内職をしなければならなかった。伯母の入院中、彼女は伯父の欲望の対象となり、妊娠してしまう。そして彼女は突然何の関係もなく自分に好意をよせている酒屋の小僧、岡部少年を出刃包丁で刺してしまう。その他にも、この街には廃車になったシトロエンのボディに住みつく乞食の親子や、平さんという哀しい過去を背負った、中年の男、異常に浮気な女を女房に持つヘアー・ブラシ職人の沢上良太郎親子らが住んでいた。これらの貧しい人たちの生活や感情を交錯させながら今日も一日が暮れていこうとしていた。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1970年
製作国 日本
配給 四騎の会
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