「さらば映画の友よインディアンサマー」(1979)

85点85
ロサンゼルス在住で映画評論家としても活躍していた原田眞人の監督第1回作品。人生の目標は、年365本の映画を20年間見続けることだとうそぶく中年の映画狂と、映画館の暗闇に浸る映画青年、美少女が繰り広げる青春物語。川谷の『雨に唄えば』が見もの。浅野は3本目の映画出演で美しい裸体を見せる。

あらすじ

沼津に住む浪人生シューマは受験のことよりも映画館に通うことと早く童貞を拾てることに心をくだく一九歳。ある日、新宿まで遠出して映画を見ていると、場内にはペチャクチャうるさい女子学生がいたが、気の小さいシューマは注意一つ出来ない。その時一人の男がやって来て「お嬢ちゃん、人から愛されるように映画見る気ない?」と一言。だがその男、追払った女学生どもの陰謀で痴漢扱いされてしまう。シューマは彼の窮地を救い、男は映画館を出ると、いきなり「俺はあんたを知ってるぜ、ビッグ・マン。ニック・ビアンコだろ……」シューマは唖然、それは大好きな「死の接吻」のリチャード・ウィドマークのセリフだ。ダンさんと称するその男は根っからの映画ファン、またたく間に二人は意気投合した。シューマの実家は“ロード・ハウス”という喫茶店をやっていて、いろんな仲間が訪ねて来る。ある晩、二人の仲間とガールハントに出かけると、ミナミという少女に出合う。彼女はからんできたズべ公を、カミソリ片手に軽く一蹴、と思うと可憐な十七歳の少女に戻ったりシューマは面くらう。暫くして、草月ホールのフィルムフェスティバルの上映中止騒ぎの中で、シューマはダンさんと再会。ダンさんはそのまま沼津に住みついてしまう。映画三昧のなかでシューマはミナミと再会する。ミナミに惚れるシューマを心配するダンさんは、彼をキャバレーに連れていく。何と、そこにはホステスのミナミがいた。シューマはダンさんの策略を感じて絶交する。ミナミは姿を消してしまう。一九六八年が終って新しい年の最初の夜、シューマにミナミから電話が入り、再会を約束する。モーテルに入る二人、シューマは彼女の肌に本間という男の名の刺青を見つける。シューマは彼女を抱くことが出来なかった。「本間を殺してやりたい」と激しく口走るシューマを心配した父は彼を台湾旅行に送り出した。“ロード・ハウス”の客が東大闘争の実況に夢中になっているとき、一人シューマは台湾旅行の思い出に耽けっている。そんな所にダンさんが現われた。ダンさんはシューマの前に、本間の家の図面を広げると、拳銃を取り出した。シューマは絵空事を夢見るダンさんに腹が立ち、激しく罵った。呆然自失のダンさん、口借しさと屈辱の中で立ちつくしている。あたたかい冬の一日、インディアンサマーのようなある日、ダンさんが本間の家に殴り込んで死んだ。現場に駈けつけたシューマはパトカーに乗るミナミを見た。ダンさんが本間の止めをさしていると、銃を構えたミナミがやって来た。轟音とともにダンさんの身体が吹っ飛んだ。虫の息のダンさんは、股間に手をあてがって「か、かてえや」と一言咳いて死んだのだ。シューマは映画館に入った。スクリーンには「新・網走番外地」の高倉健の姿。シューマの目には健さんがダンさんに変っていく。後席で騒ぐヤクザにシューマは「お兄さんたち、人から愛されるように映画見る気ないですか?」 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1979年
製作国 日本
配給 キティ・フィルム
上映時間 111
カテゴリ 社会派ドラマ
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