「泣きぼくろ」(1991)

0点--
安部譲二の同名短編小説を工藤栄一が忠実に映画化。“泣きぼくろのある女“を追って東京から名古屋まで旅をする3人の男たち。どこか世間からはみ出したような彼らの道中を、人間味あふれるタッチで描く。劇中に使われる松田優作の歌が効果的だ。

あらすじ

元暴走族で少年院帰りの順公は、カフェバーで働きながらアパート暮らしをしており、時々暇を見つけては父・順二が経営する焼鳥屋に顔を出していた。ある日、刑務所に入っていた叔父の順一が出所して順公のアパートに突然やって来る。順二が心不全で急死したのだった。順一からその話を聞いて茫然とする順公。そんな順二の葬式が終わろうとしているところへ、赤沢と名乗る老人が現れる。赤沢は元プロボクシングのフェザー級日本チャンピオンで、同じくミドル級3位だった順二と名古屋で相前後して試合をしたことがあると言うのだ。35年前に行われた名古屋のタイトルマッチで、挑戦者を死なせてしまった赤沢は、泣き崩れる挑戦者の内妻を受取人に、順二と共に保険に入ったのだが、受取人の居所を知らない赤沢は順二にそのことを聞こうと訪ねてきたのだった。感動しながらその話を聞いていた順一は、その女性を探そうと赤沢と順公の手をとり、外車の販売店へと向かった。試乗するふりでベンツに乗り込んだ三人はそのままそこを立ち去り、名古屋へと向かった。途中、三人は国道沿いのひなびた飲食店に立ち寄り、そこで小枝という女が順公を誘惑するかのように近寄ってベンツに乗ってどこかへ行ってしまう。そのころ順一と赤沢は、小枝が順公と共に逃げたと思い込んだ夫の宗男が半狂乱状態になっているのをなだめながら順公が帰るのを待っていた。だが、しばらくして店に到着したベンツには順公しか乗っておらず、小枝は夫の心配など考えることもなく、一人家路を歩いていた。翌朝、店に小枝が帰ってきて喜ぶ宗男。順一達は、そんな二人にそそくさと別れを告げて再び名古屋へと向かった。途中、乗ってきたベンツのディーラーに電話する順一。すると、受話器の向こうでは警察に盗難届けを出したことを順一に告げた。慌てた三人は車を駐車場に置き、逃げるように東名高速のバスに飛び乗った。そして三人はついに35年前に亡くなった相手のジムにたどり着いた。しかし、女の手掛かりはつかめず、さらに手掛かりを求めて地元の新聞社を訪ねた三人は、やっとのことで当時カメラマンをしていた梅津の居所を教えてもらう。退職して喫茶店を経営している梅津をやっと見つけ出した三人は、梅津から見せてもらった当時の写真から思わぬ事実を知る。写真六に写っていた泣きぼくろの女、それは10年前に死んだ順二の妻であり、順公の母である公子だったのだ。そして赤沢は、順公に保険金を手渡し去って行き、東京に戻ろうとする順公に、順一は公子の写真パネルを手渡し別れを告げる。その直後でベンツ盗難の件で警察に捕まってしまう順一。そうとは知らず東京行きの新幹線に乗る順公は美しい母の写真パネルを手に東京へ舞い戻るのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1991年
製作国 日本
配給 東北新社=SEDIC=小泉産業
上映時間 113
カテゴリ 人間ドラマ
チケット 前売りチケットを購入する