「破れ傘長庵」(1963)

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悪徳医師・村井長庵が主人公で、持ち前のず太さと賢さで“欲しいものは何でも手に入れる“とばかりに悪事を重ね、逆に悲業の死を遂げるまでが描かれている。森監督の、人間を冷めた目で見つめる演出の確かさと、勝のアンチ・ヒーローぶりが光る作品。

あらすじ

江戸の町医者良伯のもとで見習中の長蔵には、普通人では到底考えも及ばないほどのず太さと賢さがあった。猛毒を仕掛けた猫を料理して吝坊の良伯や小僧に食べさせ、けろっとして工合を見るという男だった。良伯の養女お加代だけにはかねて好意を抱いていたが、夜ともなれば質屋の後家さんの伽ぎを勤めてはお小遣いを貰い、何くわぬ顔で女中にも手を出すという達者なところをみせていた。良伯は器量よしのお加代を利用して出世を目論んでいた。それを知った長蔵は腕ずくで彼女を犯し、激怒して破門を命ずる良伯から口止め料を強請り取って姿を消した。それから数年、浅草の露地に村井長庵と名乗る町医があった。面構えも一変して貫禄を備えたかつての長蔵である。表向きは善行を装う彼も、裏では地廻りの御家安を手下にあいも変らぬ悪業を続けていた。なじみの深川芸者小鶴が金満家の唐木屋に囲われたと知るや、この男を消そうと企んだ。長庵は貧乏浪人の藤掛道十郎、りよの夫婦に近づき、見舞金だといって五両を贈った。ほどなく道十郎は唐木屋殺しの容疑で捕えられ、五両もの大金を持っていたことや被害者の手に彼の印篭が握られていたことが動かせぬ証拠となって、ついに処刑された。だが、これらはもちろん長庵が仕組んだことであった。ある日突然、落ちぶれた良伯が現れ、こんどは長庵を強請った。長庵が掛け合いのため良伯の家へ行った留守に、唐木屋殺しの口封じのため殺したつもりで川へつき落したはずの御家安が生き返り、苦しい息の下から真相の一切をりよに話してしまった。良伯との交渉がうまくはかどらぬ長庵は、ついにすきをみて良伯の湯呑みに白い粉を注ぎ一気に毒殺をはかろうとしたが、僅かの間に二人の湯呑みが入れかわっていた。りよが懐剣を手に良伯の家にかけつけた時、目ざす長庵は自らの毒にのたうちまわり、まさに息もたえんとする一瞬であった。二人の湯呑みを巧みに入れかえたのは、長庵の謀略を見破ったお加代が、茶菓子を持って部屋に入ったほんの瞬間の出来ごとであった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1963年
製作国 日本
配給 大映
上映時間 97
カテゴリ 仁侠/時代劇
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