「ジャスト・ア・ジゴロ」(1978)

90点90
アメリカ製のジゴロ映画とはまったく異なり、時代の激しい流れの中ではかなく消えていった一人のジゴロを、デカダンな雰囲気が漂う映像の中に綴った作品。監督は政治映画「パワー・プレイ」で見事な演出ぶりを見せたヘミングス。俳優としても活躍している彼は、演出を手掛けると同時に謎の地下組織の男に扮し、不思議な存在感を出している。

あらすじ

第一次大戦で負傷したポール(デイヴィッド・ボウイ)が故郷ベルリンに帰って来た。敗戦のショックで混乱するドイツ社会にあって、ヒットラーのファシズムだけが頭をもち上げていた。エリート軍人になるべく教育されて前線に送られていたポールも、帰ってからはすることもなくぶらぶらと日々を過ごしていた。母ミュッティ(マリア・シェル)やヒンダ伯母(ヒルデ・ウェイスナー)は、そんな中でたくましく働いている。幼なじみのシリー(シドニー・ローム)は、場末の踊子から、ハリウッドの人気女優へと変貌していった。ポールの前の連隊長ヘルマン・クラフト(デイヴィッド・ヘミングス)は、戦争後遺症から分裂症となり、ポールを、自分の政治結社に誘うが、その感情の奥にはポールに対するホモ・セクシュアルなものが含まれていた。そのヘルマンの誘いも拒否して街を彷徨するポールは、やがてジゴロたちが集まるバー“エデン”の経営者セマリング少佐(M・ディートリッヒ)に会った。その日から、“エデン”で働くようになったポールは、金持ちの中年女ヘルガ(キム・ノヴァク)のジゴロになる。そんなころ、シリーが大スターになってハリウッドから帰って来た。彼女は年老いた貴族(クルト・ユルゲンス)の妻に迎えられたのだ。わがままなヘルガのおもちゃとして扱われていることにイヤ気のさしたポールは彼女のもとを去り、シリーの結婚式に参列した。ポールヘの愛を語りながら、貴族との結婚を選んだ彼女は、しかし、公園でポールに愛をささやいた。無表情でキスをするポールは、シリーと分れた後、夜の街に出た。ちょうどファシストの内戦が勃発しており、彼はその流れ弾に当たって死んだ。そして皮肉にも時代の英雄として埋葬されるのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1978年
製作国 西独
上映時間 104
カテゴリ 人間ドラマ
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