「J・MOVIE・WARS」(1993)

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1992年から1993年まで、“WOWOW“で放送された〈J・MOVIE・WARS〉。これは、毎月一人の監督が、10分ほどの短編を4本。計約40分弱の映画を作っていくシリーズで、6人の監督による6作品が生まれた。それを劇場公開したのが、この作品。放送された中から中原俊監督を除いた5編からなり、それぞれ監督の個性が出た、バラエティーに富んだ作品群となっている。「TOKYO BLOOD」は、4つのエピソードで東京に生きる人々を見つめた石井聰亙作品。「月はどっちに出ている」は、のちに同名の映画も作られた崔洋一作品。「来たことのある初めての道」は、男女の出会いから別れまでを描く山川直人作品。劇場公開にあたって、音楽を排除し、物語の流れに沿って編集をし直している。「ワイルドサイド」は、玉置浩二の好演が光る、長崎俊一作品。「殺し屋アミ」は、プロの殺し屋、少女アミの日常を追った榎戸耕史作品。

あらすじ

<石井聰亙篇> 「STREETNOISE」繁華街の片隅で、エンジンの咆哮、群衆の声、サイレン、スピーカーなど、自分に向かってくる〈音〉を聞いた男は、その〈音〉を追って走る。全力疾走する男の左手には金属製の義手が光り、次第にマシーンのスピードに近づいていく……。「自転車」夜明けの都電の駅で、十七歳の夏音は自転車に乗った二二歳の美都と出会う。夏音は彼女の自転車に乗り、自分を誘拐しないかともちかける。初めて出会い、そして何となく別れる二人の間に、懐かしさに充ちた感情が流れる。「穴」記憶喪失の男は〈穴〉によって記憶を呼び戻す。都会のあらゆる〈穴〉を医師とともに探訪する男は下水道に落ちる。そして、あらゆるものが〈穴〉から噴出する……。「HEART OF STONE」世紀末の、ひとりの少女の〈石〉をめぐるイメージ。石に触れた人々は言語や人種に関係なくお互いの心をテレパシーできるようになる。ストーンヘンジから大地に埋もれた超LSIの結晶片に至るまでの、壮大な〈石〉の輪廻転生。 <崔洋一篇> 「昔、大きな戦争があった」今日もまた自分の居場所が分からなくなった運転手仲間の安保に、“月はどっちに出ている?”と確認させる忠男。ある夜彼は母親・英順の経営するスナックで働くフィリピーナ、コニーに愛を告白する。『何やの、これは?』コニーに釘を刺されたにもかかわらず、忠男は彼女の部屋に荷物を持ち込んで同棲を決め込む。反発したコニーもふと心を動かされたようだが。 「肉弾戦」忠男とコニーの“肉弾戦”の真っ最中、同僚の細川から借金申し入れの電話が何度もかかる。翌日、運悪く英順がコニーに長野行きを勧めるものだから、遂にコニーはキレてしまい、忠男の目の前で英順と舌戦を交わす。 「今もお嫌いですか?」忠男のタクシーに乗ってくる酔っ払いのサラリーマン。忠男にキムチから朝鮮人問題まで訳知り顔に話しかけるが、いざ目的地に着くと金を払わず逃走。必死で追い詰めた忠男は男の財布から金を受け取り釣銭を渡すと、“ありがとうございました”と一礼する。(33分) <山川直人篇>「来たことある初めての道」 生演奏レストランでドラムを叩くコバックスと、デパートでバイトをしていたキリコは、地下鉄の改札口で初めて出会った。外は吹雪。きっかけは、キリコの落としたランボオの詩集だった。一年後には、雪の公園でいつものデートをしながら、演奏ツアーの話を楽しく夢見たりする二人だったが、その話は流れ、やがて関係もうまくいかなくなる。雪原でキリコのために作った歌をコバックスが人前で歌うのをキリコは耐えられず、またコバックスはキリコの描いた絵をけなし、スケッチに付き合うのはたまらないとグチる。二人の間の壁は大きくなり、やがて思い出の公園で、別れの日は必然的にやってきた。(30分) <長崎俊一篇> 「電話」朝のベッドでまどろむ二六歳のSM嬢・木村リカ。現在の恋人はラジオで人生相談をしている新谷だが、電話をかけると彼の側には別の女性の気配がする。「街角」繁華街の雑踏、新谷はもう一人の恋人である三〇歳の人妻・洋子との情事を終えたばかりだった。別れたはずのリカの顔が見たくなり、彼はラブホテルから彼女のいるSMクラブへ電話をかけ呼び出す。「バス」観光バスのバスガイドとして働く洋子は、運転手である夫の城ヶ崎と横浜ベイブリッジへ。尾行してきた新谷が現れ、城ヶ崎に“奥さんと別れてくれ”と懇願する。激昂した城ヶ崎は新谷に猛然殴りかかった。 「ワイルドサイド」城ヶ崎に殴られた跡が生々しいまま、人生相談の仕事を続ける新谷。三角関係を続ける主婦に“あなたの問題は自分に自信が持てないからでは”と諭すが、それは自分にこそ当てはまる言葉だった。収録後リカに呼び出された彼は、待ち合わせ場所で、おもいがけない人物に出会う。(33分) <榎戸耕史篇> 「カナリア」普段はフラワーコーディネーターとして働くアミのもう一つの姿はプロの殺し屋だった。今日も地下駐車場で彼女は依頼通り中年男性を殺すが、男が最後に残した“カスミ…”という言葉にひっかかり、仲介人の山猫に標的の正体を尋ねる。 「愛の殺人者」険しい岸壁に立つ豪華別荘。釣り客を装い、アミはそこに住む標的の人物を狙う。初老の域がかかった男性の横には、愛人らしい若い女性がいた。 「小鳥の背中」街の花屋で働く青年マコトはアミの表の仕事の得意客だった。アミに興味を持ったマコトは彼女を尾行するが、それに気づいた彼女にまかれてしまう。数日後、マコトはアミがあるビルの屋上に上っていくのを目撃して……。 「渚にて」アミがいつも花を活けている喫茶店のゲイのマスター・南は、彼女の様子がいつもとは違うことに気づく。南の口ぶりからいつもの軽い調子が消える。“あたしを殺しに来たの?”アミはいつもの仕事通り、手際良くスミス&ウェッソンの銃口を南に向ける……。(38分) 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1993年
製作国 日本
配給 WOWOW=ヒルヴィラ
上映時間 171
カテゴリ 人間ドラマ
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