「黒の奔流」(1972)

【DVD発売中】

59点59
松本清張の小説『種族同盟』を映画化した社会派サスペンス。殺人容疑で法廷に立った旅館の女中と敏腕の弁護士。二人の間にはやがて情交ができるが、男の方がほかの女と結婚すると知り、女は復讐する。岡田茉莉子が女の情の怖さを表現して巧演。

あらすじ

ある殺人事件の裁判が始まった。事件とは多摩川渓谷の旅館の女中、貝塚藤江がなじみの客を崖から突き落した、というのである。しかし藤江はあくまでも無罪を主張した、が、状況的には彼女の有罪を裏付けるものばかりだった。この弁護を担当したのが矢野武である。矢野はこの勝ち目の薄い事件を無罪に出来たら一躍有名になり、前から狙っている弁護士会々長・若宮正道の娘朋子をものにできるかもしれない、という目算があったのである。弁護は難行したが、藤江に有利な新しい証人が現われ、矢野は見事、無罪判決を勝ら取る。そして矢野の思惑通り、マスコミに騒がれるとともに、若宮と朋子の祝福を受け、若宮は朋子の結婚相手に矢野を選ぶのだった。一方、藤江を自分の事務所で勤めさせていた矢野は、ある晩、藤江を抱いた。藤江は今では矢野への感謝の気持ちが思慕へと変っていたのである。やがて藤江は矢野が朋子と結婚するということを知った。藤江が朋子のことを失野に問いただすと、矢野は冷たく「僕が君と結婚すると思っていたわけではないだろうね」と言い放ち、去ろうとした。そこで藤江は、あの事件の真犯人は彼女であること、もし矢野が別れるなら裁判所へ行って全てを白状すると逆に矢野を脅迫する。矢野は憔悴の夜を送った。藤江はやりかねない。それは矢野の滅亡を意味する。やがて矢野は藤江に対して殺意をいだく。翌日、矢野は藤江に詫びを入れ、旅行に誘うと、藤江は涙ながらに喜び、数日後、富士の見える西湖畔に二人は宿をとった。藤江は幸福だった。翌朝、矢野は藤江を釣に誘った。人気のない霧の湖上を二人を乗せたボートが沖へ向った。矢野が舟を止めると矢野の殺意には既に気が付いていたと藤江がつぶやいた。矢野は舟底のコックを抜いた、奔流のように水が舟に入って来る。矢野が脱出しようとした瞬間、藤江の体が矢野の上にのしかかり、矢野の悲鳴が上った。「先生を誰にも渡さない!」藤江の頬には止めどなく涙が流れた。折りしも流れて来た濃い霧の中に慟哭とともにボートと藤江と矢野の姿は消えていった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1972年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 90
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