「関東無宿」(1963)

【DVD発売中】

76点76
映像派・鈴木清順と美術・木村威夫が生んだ様式美あふれる任侠映画。平林たい子の原作『地底の歌』はすでに1956年に野口博志監督の手によって映画化されているので、これが2度目となった。今回の映画化では、小林旭に眉を太く描かせるなどして歌舞伎の様式を取り入れ、主人公の情念の象徴である赤を中心にした色彩設計がなされている。特に、クライマックスで主人公が敵方の賭場で相手を斬った瞬間、背後の襖がスローモーションで倒れていき、真っ赤なホリゾントが画面一面に映るシーンは、まさに清順=木村の真骨頂だ。伊豆組の幹部・鶴田は、吉田組に押されている組のことで親分と意見が対立。ある日、鶴田は賭場で出会った女が有名なイカサマ博奕打ちの女であることを知った。しかし、そうとは知りつつも鶴田はその女に惹かれていく。そして、その女の亭主であるイカサマ博奕打ちと勝負がしたいと思うのだった……。

あらすじ

新聞の片隅にある「やくざの出入り、親分射殺さる」の小さな見出し、この小さなみだしの裏には、やくざの掟に反抗しながら、悲惨な宿命を背負った二人の男の物語があった。伊豆組の幹部鶴田光雄は、どこか知的な鋭さをもつ男であった。その鋭さが、彼の印象を非情で、油断のない人間にしていた。親分伊豆荘太が、心を許せないのもこんな彼にであった。最近擡頭著しい吉田組と、伊豆組は何にかとおりあいが悪かったが、土建の請負仕事の権利をめぐって、一触即発の状態であった。古田組の乾分、ダイヤモンドの冬は、ある日花子という女子学生に遇ったが、その日から冬は花子が忘れられなくなった。しかし花子は伊豆組の乾分鉄に売り飛ばされてしまった。狂気のように探す冬を見た伊豆は、吉田組の復讐を恐れ、鶴田に鉄と花子を探し出すように命じた。ある賭場に来た鶴田は、女博徒辰子に再会した。三年前賭場で知り会った二人は、忘れられない人になっていたのだ。辰子はイカサマ博打師おかる八と組み、客から金を捲きあげていた。思いあまった鶴田は冬の家を訪ねだが、そこで辰子を見て驚いた。辰子は冬の姉だったのだ。鶴田の胸に顔を埋める辰子、その時から鶴田は、辰子の男、“おかる八”との対決を決意していた。花子を失い、連日連夜賭博にふける冬を心配して相談する辰子と、鶴田の間には、ヤクザの掟はなく慕情だけがあった。突然鉄が、ダイヤモンドの冬に刺されたと聞いた伊豆荘太は、鶴田の無能さをなじった。何事かを決意した鶴田は賭場に返した。突如数人の暴漢にかこまれた鶴田は、二人を一瞬に切って捨てた。その頃冬もまた吉田の命令で伊豆をドスで貫いていた。やくざの黒い掟に押し流された、若い二人はこうして社会から抹殺されていった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1963年
製作国 日本
配給 日活
上映時間 93
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