「海軍兵学校物語/あゝ江田島」(1959)

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10点10
芥川賞作家、菊村到の原作に基づく戦記ドラマ。海軍の華とうたわれた江田島兵学校に学ぶ若き兵士たちの青春を描く。昭和17年、石川竜太郎は海軍兵学校に入学。そこで上級生のシゴキにさからう同級生、村瀬と親しくなる。一方、上級の小暮は、村瀬を目の敵のようにして鍛えながら、彼と真の兄弟のような絆で結ばれていくが……。

あらすじ

瀬戸内海の真只中、江田島の海軍兵学校は日本海軍揺籃の地であった。太平洋戦争も激烈をきわめて来た昭和十七年十二月、石川竜太郎は海軍兵学校に入学した。三年制の速成教育に移った兵学校では、最上級生を一号生徒、新入生を三号生徒と呼んで、一、二、三号各十五名ずつから成る編成を一分隊として、起居訓練を共にした。石川は二〇三分隊に編入され、兵学校生活が始まった。自習室に集められた石川ら二〇三分隊の新三号は、分隊伍長の佐田を中心とする一号生徒から激しい気合をかけられた。その時一人の三号生徒が猛烈に反抗した。村瀬真一だった。村瀬をなぐり倒したのは、気の荒い上級の小暮生徒だった。石川は村瀬と小暮にどこか魅かれるものを感じた。訓練は厳しかった。ちょっとでもたるむとすぐ気合をかけられた。石川と村瀬は親しく語った。村瀬は不幸な青年だった。母の再婚で家庭を失った時悪の道に踏み込んだ。しかし教師の導きで飜然と悟り、兵学校に入学したのだった。小暮生徒は村瀬を目の仇のようにしてきたえた。日曜日、村瀬と石川は兵学校の象徴として名高い古鷹山に登った。そこで二人は田口教官の妹、田口由美子を知った。或る日、気合を入れられている村瀬を助けたのは小暮生徒であった。小暮は中学で村瀬の先輩だった。しかも同じような境遇からこの兵学校に入って来たのだ。この日から村瀬は小暮を兄のように慕った。やがて佐田や小暮は卒業した。戦時のため、卒業記念の遠洋航海にも出ず、直ちに各任地へととび立った。戦争は益々激化した。アッツもラバウルもサイパンも失った。兵学校の訓練も激化した。石川は由美子にはほのかな思慕を覚えた。村瀬も由美子を愛していることを同時に知った。しかし死ぬことだけを教えられた彼らにどうすることが許されていたろう。空襲は日毎に激しくなった。そしてある日、敵機に爆撃されて沈んでゆく巡洋艦の姿を見て、村瀬はとび出して機銃にしがみついた。村瀬は兵学校の校庭で死んだ。昭和二十年、佐田は神風特攻隊に乗った。村瀬の死に慟哭した小暮は人間魚雷に乗った。兵学校を卒業した石川も特攻機の一員となった。十四年後、古鷹山を訪れたのは石川だった。平和な瀬戸の海の彼方に、石川は村瀬や小暮や佐田の姿を見たように思った。瀬戸の海はあくまで平和だった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1959年
製作国 日本
配給 大映東京
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