「狼と豚と人間」(1964)

【DVD発売中】

74点74
スラム街で育った三兄弟は生き方や考え方がそれぞれ違い、互いに敵視し合っている。長男“豚“は老母の金を奪ってヤクザの幹部になっている。次男“狼“は金を信じて人間を信じない一匹狼でヒモ稼業。三男“人間“は母親の死を見看ったあと、チンピラ・グループを結成。この3人が麻薬資金をめぐり、血で血を洗う戦いを繰り広げる。深作監督の演出は下層のアウトローの暴力の噴出をダイナミックに活写している。万力に手の甲を挟み込み拷問を加える描写はバイオレンスに満ちて、あとの「仁義なき戦い」シリーズなどの実録ヤクザ映画を先取りしたような迫力がある。

あらすじ

ドブ臭い空気が充満する貧民窟で育った三人の黒木兄弟。長兄の市郎は、年老いた母の金を奪うと、新興ヤクザ岩崎組に入って幹部になった。次兄の次郎も、母を裏切ると、あらゆる悪の道に手を出しながら、金持杏子のヒモとして、一匹狼となっていた。そして末弟の三郎は母の最期をみとると、チンピラの群れに加わった。いつまでもうだつのあがらない生活に倦きた次郎は、国外脱出に自分の新しい生活を求めた。その資金は、岩崎組の麻薬取引現場を襲って、四千万の金品を奪うのだ。相棒の水原、そして弟の三郎と仲間たち。人数は揃った。兄に凄まじい憎悪を抱く三郎も、一人アタマ五万円の分け前に、半信半疑ながら、賛成したのだ。計画は成功した。市郎も、水原も、胸算用しては悦に入っていた。だが、意外なことがおきた。四千万円の運搬にあたっていた三郎が、この金を隠してしまったのだ。幼い弟達を見捨て、病弱な母を置いて、飛び出した市郎に対する面あてが、三郎の動機であった。この不測の出来事に慌てた次郎は、三郎や仲間を拷問したが、三郎の口は開かなかった。一方市郎は自分の弟達の手によって、懸命になって叩きあげた地位が、失われようとする焦りと、岩崎の疑惑の眼を感じて、四千万を必死に追求した。遂に岩崎組の手によって、次郎達の居場所はつきとめられた。かつて幼い兄弟の遊び場であった倉庫の中だ。頑として口を割らない三郎を中心に、疲れはてた仲間達。市郎の誘いの言葉に、水原は、三郎に拳銃を向けた。だが、次郎は、三郎を擁護して、一瞬早く水原を射った。この時、次郎と三郎は、二人が血の繋がった兄弟である事を強く感じ、遠くにいる市郎に同じ怒りを抱いた。全てを拒絶した三郎らを、岩崎組の拳銃が一斉に射撃した。遂に金のありかもわからず、ひきあげる市郎の姿には、敗残者の寂しさがあった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1964年
製作国 日本
配給 東映東京
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