「赤い波止場」(1958)

【DVD発売中】

73点73
組織の保護の下、神戸に潜入している殺し屋は、彼に首ったけの情婦がありながら、兄を組織の手で殺されて食堂を女手一つで切り盛りするインテリ娘に惚れてしまう。組織に裏切られ、彼は情婦と国外脱出を企てるが、その娘がボスの手下に傷つけられたというデマに惑わされて、単身引き返してボスを射殺し警察に捕らえられ……。エキゾチックな神戸の港のムードと、ジャン・ギャバン主演の「望郷」を下敷きにしたセンチメンタルな物語がうまくはまった。裕次郎の魅力もさることながら、主人公に付きまとう刑事役の大坂志郎、脱出の手引きをするマダムの轟夕起子と脇役陣の充実ぶりも作品を魅力あるものにしている。

あらすじ

神戸の桟橋で、杉田は落ちてくるクレーンの下敷きとなって死んだ。この麻薬売買のいざこざから過失と見せかけた殺人の現場に、偶然いあわせたのは通称左射ちの二郎こと富永二郎だった。彼は東京で五人のヤクザをバラして神戸に流れついたのだ。今は松山組にワラジを脱いでいる。キャバレーの用心棒をしているタア坊は、二郎を兄貴と呼んで慕っていた。死んだ杉田の妹・圭子は、東京の大学をやめて、神戸へ帰って来た。二郎は圭子にひと目惚れした。彼の動静に絶えず眼を向けているのは、野呂刑事である。だがある晴れた日の桟橋には、二郎とタア坊と野呂の三人が並んで散歩している奇妙な風景が見られた。ところで、タア坊は今までの部屋を松山組の客人にとられて宿無しになった。その男は、土田という殺し屋だった。彼をさし向けたのは、神戸にやって来た東京藤田組の代貸・勝又である。勝又は、藤田組の親分が世を去ると、二郎が東京にいるのを幸い、自分が親分におさまろうと考えたのだ。それには、目の上の瘤の二郎をバラす必要がある。折も折、タア坊が土田に殺された。恋人のミッチンが土田に脅かされたので、果し合いを申しこみ、土田の拳銃に負けたのだ。二郎は土田がミッチンを閉じこめて暴行を働いている現場をつきとめ、土田の右手を狙って拳銃をたたき落した。ミッチンはその拳銃で土田のドテッ腹に撃ちこんだ。土田を失って逆上した勝又の挑戦を受け、勝又を殴り殺した二郎は、松山組の親分と幹部をも射殺、香港へ出航する手筈を整えた。が、二郎が圭子に惹かれていることを知る野呂は、圭子を囮にして、二郎をおびき寄せる計画をめぐらした。インチキ新聞を売収「港の暴挙、松山組杉田屋を襲う。圭子さん重傷、山手病院に収容」という記事を書かせてバラ撒かせたのだ。そして圭子を病院に軟禁、警戒の陣を布いた。二郎を乗せた車は、神戸港に向っていたが方向転換、病院の方角に走った。罠とは知りながらも、二郎は圭子の元気な顔をたしかめたかったのだ。圭子を窓ごしに見た二郎は、野呂に素直に手を差し出した。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1958年
製作国 日本
配給 日活
上映時間 99
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