「人間の証明」(1977)

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62点62
「犬神家の一族」に続く角川春樹事務所製作第2作。日本のオールスター・キャストに加え、アメリカロケ、一流のアメリカ俳優の起用、そしてなによりTVスポットの大量放映という当時としては破格の宣伝方法によって大ヒットを飛ばした。角川映画はこうして映画界に確固たる地位を築き、以後話題作、ヒット作を作り続けていくことになる。また脚本を一般公募で募集したことでも話題となったが、選ばれた脚本がプロの手になるものだったのは皮肉。事件の手掛かりになる西条八十の詩も流行した。アメリカからやって来た黒人青年の不審な死をきっかけに、高度成長する戦後日本の、母子の悲劇が浮かび上がる。

あらすじ

東洋的な風貌を頬に刻んだひとりの黒人青年が、ニューヨーク・バンクで六千ドルの大金を白人紳士から受け取り、みすぼらしいスラムをあとに、一路東京へと飛び発った。キスミーに行くという言葉を残して。東京ロイヤル・ホテルの四十二階で、人気絶頂の女流デザイナー八杉恭子のファッション・ショーが始まって間もないころ、エレベーターの中で、黒人が胸にナイフを突き刺し、西条八十詩集を抱いたままその場に倒れて死んでいた。男の名は、ジョニー・ヘイワード。麹町署に捜査本部を置き、警視庁の那須班の刑事たちは、エレベーター・ガールの証言から、ジョニーが死にぎわに口走った“ストウハ……”という言葉を最初の手がかりとして、捜査を開始した。棟居刑事とベテラン刑事横渡らは、現場近くの潜水公園を検証し、そこで古い麦わら帽子を発見した。ストウハ……、それはストロウ・ハット(麦わら帽子)のことなのか?−−その夜、別の場所で車による轢殺事件が起きた。東洋技研の新見部長に、家の近くまで送られてきたホステスのなおみが車から降りて間もなく、別の方向から走ってきた車にはね飛ばされた。運転していた郡恭平は、女友達の路子と共に、なおみの死体を車に担ぎこみ、山林に埋めた。一方、なおみのことが気にかかり、彼女と別れた場所に戻った新見は、そこで血のにじんだ時計を見つける。それは息子の恭平に、八杉恭子が買い与えた物だった。ニューヨーク市誓の刑事ケン・シュフタンは、日本からの依頼で、ジョニーの身元捜査のため、彼のアパートを訪ね、そこでパーク・アベニューに住む、ライオネル・アダムスの名を記したメモを見つけた。アダムスの話によると、数カ月前、彼の車にぶつかってきたウィルシャー・ヘイワードという名の黒人に六千ドルを要求され、彼の息子のジョニーに支払ったという。一方、失踪した愛人のなおみを追っていた新見は、時計の持主が郡恭平であることをつきとめた。新見から依頼を受けた棟居と横渡が、郡家を訪れると、すでに恭平はニューヨークへ発ったあとである。恭平が事故を起こした事を知った恭子が、彼を国外へ逃がしたのであった。郡家からの帰途、おでん屋に立ち寄った棟居と横渡は、酔い痴れた客が、西条八十の詩の中の“霧積”と言葉を口ずさむのを耳にする。ジョニーが言った“キスミー”それは、もしかすると、この霧積のことではないのか? 早速その霧積へ飛んだ棟居と横渡は、この地に古くから住む中山たねという老婆が、昔、霧積にやって来た黒人の親子連れを見かけたことがあるという話を聞きこみ、そのたねのもとへ駈けつけたが、たねはその直前に殺されていた。棟居らは、たねのいとこよしのから、たねが終戦直後、横須賀でバーを開いていたこと、そしてその店で意外な女性が働いていたことを知った。中山たねが、昔見かけた黒人の親子連れというのは、この女と、ウィルシャー・ヘイワード、そしてジョニーのことではないだろうか。ウィルシャーが、わが身を犠牲にしてまで、息子を日本へ旅立たせた訳は、ジョニーを母に会わせるためだったのではないだろうか? そして、日本へやって来たジョニーと、この母との間に何かが起きた−−棟居はいっきにニューヨークに飛び、25分署のケン・シュフタンとコンビを組んで、ジョニーの父親ウィルシャー・ヘイワードの捜査を開始したが、意外にも日本とアメリカの二人の刑事は、宿命的な絆によって結ばれていたのだ。戦後30年、さまざまな生き方をしてきた人々が、見えない一本の糸にからまれるように、深く関り合う。東京とニューヨークを結ぶこの捜査がすすむにつれ、事態の展開は、息をのむような新しい事実をほりおこし、また意外な事件を生んでゆく。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1977年
製作国 日本
配給 角川春樹事務所
上映時間 132
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