「赫い髪の女」(1979)

79点79
にっかつロマンポルノが生んだ名作中の名作であり神代辰巳の最高傑作の一つ。雨の中、ダンプカーの運転手光造は自動販売機のカップめんをすすっている女を拾う。いたずらをするつもりの光造だったが、その日から女は彼のアパートに住みついてしまう。女は自分のことは何も言わないし、光造もあえて聞いたりはしない。ただ来る日も来る日もセックスを繰り返すだけ。彼女は突然何かにおびえたりするが、過去を持ち込むのはセックスの体位くらいで、光造と一緒にいることをただ喜んでいる。もう若くもない男と女の交接の日々を描きながら、その頽廃感から発せられるのは粉飾ぬきの性愛の姿だ。神代は例によって長回しを多用し、役者の息づかいまでも映し出している。また頻出する雨のシーンに象徴される湿度の高い映像空間を作りあげ、日本の映画が持つ独自の色彩と質感をフィルムに定着させている。その全編からエロスが匂い立つ。性愛の化身ともいうべき女を演じきる宮下順子が素晴らしい。

あらすじ

その赫い髪の女が光造の部屋に来てから何日かがたっていた。女が部屋に転がり込んでから、繰り返し交接したためか、愛欲のうねりが、いまだに光造の体に残っている。女に声をかけたのは仕事の帰り道であった……。その日から、光造は自分の部屋で女と一緒だった。裸になった女の乳首は黒く、女には二人の子供があったという。光造は、それ以上のことを女に訊ねなかった。実際女に何を訊ねてもしかたがない。それは、口笛一つでついて来た犬をあれこれ詮索しても、結局はその犬を飼うのか、追い払うのかどちらかしか道がないように、光造には女を部屋に居続けさせるか、否かの二つの方法しかないのだから。光造の仕事は、会社から派遣され、土方の組に出かけ、ショベルカーやブルドーザーを運転することだ。ところで、三ヵ月ほど前、光造は、同僚の孝男とともに、自分の勤める会社の社長の娘、和子をマワしてしまった。その和子が妊娠してしまい、孝男に駆け落ちをせまっていた。よどんだ街、よどんだ人間関係の中で、和子は孝男と逃げ場を求めていたのかもしれない。暫くして、光造は女を姉の家に連れていくが、姉は赫い髪の女をどこかで見かけたことがあるという。その言葉は女をひどく恐がらせたようだが、光造には、女の過去など、どうでもよかった。女がいるだけで充分だった。孝男と和子がこの閉塞したような街を出ていく日も、光造と赫い髪の女は愛欲のうねりの中にいた。女は光造にまたがり、乳房をこすりつけるように体を倒してきた……。光造は、女の赫い髪を見続ける。赫い髪は美しい……。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1979年
製作国 日本
上映時間 73
映倫 R18+
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