「ときめきに死す」(1984)

【DVD発売中】

43点43
前年に「家族ゲーム」という問題作を放ち、日本映画界の話題を独占した感のある森田芳光の秀れた異色作である。原作は丸山健二の同名の小説で、大幅にストーリーを改変し、いかにも森田芳光らしいセリフの構成、空間の処理などが施されている。主演は沢田研二で、暗殺者というジュリーとしては異色の役柄を実にクールに演じる。この暗殺者の身の回りの世話をする男に杉浦直樹が扮し、抑制された演技で作品に不思議な風味をつけ加えている。この二人の男は、ある田舎町の別荘で暗殺決行の司令が発せられるまで一緒に暮らしているが、そこへ樋口可南子扮する一人の若く美しい女が本部から派遣されてくる。3人の共同生活が始まり、その中で女はやがて暗殺者を愛するように。しかしそれもつかの間、暗殺司令が下る。暗殺者は無表情な顔つきで犯行予定地へ……。前田米造のみずみずしい撮影と簡素で大胆な中沢克巳の美術が作品にふさわしいムードを作る。

あらすじ

自称、歌舞伎町の医者・大倉は、ある謎の組織から莫大な報酬で、別荘の管理と一人の男の身の回りの世話、心身のチェックを依頼された。それを引き受けた彼は、ある田舎町の駅で工藤という若い男を出迎える。大倉は工藤を別荘に案内し、組織の指示通りに調理した夕食で持てなすが、工藤は酒も煙草も拒否、食事もデザートから手をつけるという変わり者だった。大倉は工藤の正体も、ここに現われた目的も一切知らされず、また質問する事も禁じられていた。ただひたすら、組織からの一方的な電話による指示通りに彼の世話をするのだった。工藤は早朝、森林を駆け回り昼は海で水泳をし、別荘に帰っては室内トレーニングを続けるという日課を黙々とこなしていた。大倉はそんな彼のストイックな姿に魅せられていく。あるコンピューター室で少年がキーを叩いている。ブラウン管には工藤と大倉の行動がグラフィック化され、二人の体格、性格に対照して「コヅエ・ヒロミ」という女が叩き出された。そして、梢が組織から工藤のために別荘に送り込まれてきた。男二人と女一人の奇妙な生活が始まる。工藤は梢に全く興味を示さず、その謎めいたペースをくずさない。一時、大倉にモーションをかけていた梢も、工藤に興味を持ちはじめ、愛を抱いていく。コンピューターが、遂に組織が排除すべき人物をあぶり出す。驚く幹部達。それは組織の会長・谷川の名だった。夏の終わり、売春宿に出かけた大倉は、そこのおかみ・たえから、この町に信者の多い新興宗教の谷川会長が訪れることを聞く。大倉は初めて工藤が負っている使命とそのターゲットを知った。工藤は谷川会長を刺そうとして失敗し、警察に捕まった。それを知った組織の新条は会長を暗殺する。パトカーの中で、工藤は手首を噛み切って自決した。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1984年
製作国 日本
配給 ニュー・センチュリー・プロデューサーズ
上映時間 105
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