「無能の人」(1991)

【DVD発売中】

71点71
異色の劇画作家として知られるつげ義春の同名漫画を、つげワールドに魅せられた竹中直人の初演出によって映像化。多摩川の川原で石を売る男とその家族を中心に、現代社会から落ちこぼれた人々をブラックユーモアを交えながらも温かい視点で見つめ、そのノスタルジックな映像がつげワールドにふさわしい絵となって再現されている。主人公の助川助三を竹中自身が演じ、その妻モモ子に風吹ジュン。ほかに山口美也子、マルセ太郎、神戸浩、大杉ら個性派が脇を固め、映画監督の神代辰巳が謎の鳥男に扮して映画初出演。そしてさらに豪華かつ異色な面々が1シーン(または1カット)ゲストで登場している。第48回ヴェネチア映画祭国際批評家連盟賞を獲得した。

あらすじ

多摩川で拾った石を売る助川助三。かつては漫画家として名をなしたこともあったが、時流に乗り遅れ、数々の商売に失敗した結果、思いついたのが元手のかからない石を売るという商売だった。来年は小学校に入る一人息子の三助を連れて妻・モモ子が団地を回るチラシ配りだけが一家の収入源である。ある日、石の愛好家の専門誌を読んだ助川は、素人でも参加できる石のオークションが行われていることを知り、主催者の石山とその妻のたつ子と出会う。久しぶりにあった漫画の依頼も断り、遠く山梨まで出掛けて採石した石を抱え、期待を胸に助川はオークションに参加するが、参加者は老人ばかりで活気がない。いよいよ助川の石がセリにかけられるが期待に反して、石が売れなかったばかりか、余計な出費がかさんでしまうのだった。それによって再び気まずくなる助川夫婦。助川は再びペンを取り、漫画を描き始めるが、どこも採用してくれず、彼は再び石屋を始め、繁盛させるために川を越えた競輪場の客をねらって自ら客を背負って渡し舟を開業。モモ子はそんな彼に愛想を尽かしてしまうのだった。翌日、河原は競輪の開催日とあって賑わい、助川の前にたつ子が現れ「店をたたんで二人で甲州で暮らさないか」と言う。助川はそれを振り切るかのように商売を続けるが、その時、たつ子は他の客を押しのけて助川におぶさり、彼はそのまま川を渡った。好奇の目を向ける河原の人々。その中に今にも泣きそうな顔をした三助の姿があった。そして、そんな助川を迎えにいく三助とモモ子。助川はふたりの手を取り、家路へと向かうのだった。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1991年
製作国 日本
配給 邦画マイナー=松竹第一興行=ケイエスエス
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