「櫛の火」(1975)

73点73
恋人を病気で失った青年に残されたのは、彼女が使っていた1本の櫛だけだった。櫛とともに空白の日々を送る青年だが、新しい年上の女性との出会いを機に、生きることの意味を見つけ出していく。草刈正雄が現代青年のとめどない解体感、喪失感を好演。

あらすじ

広部が初めて矢沢柾子と会った時、彼女はホテルのロビィで、大学講師である夫、矢沢の友人、田部、松岡と話していた。広部が待っていた先輩と松岡が知り合いで、形式的に柾子を紹介された……。三年前、大学紛争も終りに近い頃、弥須子が激烈な常套句で広部の生き方をなじって離れていった。そして一年後に、広部は弥須子と再会した。その夜、二人は連れ込み宿で肌を寄せあった。翌朝、弥須子は広部と別れた後、急に腹痛を起こし入院した。病院に駆けつけた広部は、献身的な看護を続けたが、一週間後彼女は息をひきとった。彼女の櫛が形見として広部に渡された……。初めて柾子を紹介されてから十日ほどして、広部は柾子と電話で話した。征子は夫の矢沢と別居しており離婚の話がついている、と言い、二人は月に一度ほどの間隔で逢うようになり、どちらからともなく体を求めるようになった。一方、矢沢はあけみと同棲していた。しかし、あけみは多情な女で、矢沢はいつも嫉妬していた。ついにあけみに我慢ができなくなった矢沢が家に戻って来て、柾子とは一階と二階に別れて暮すことになった。柾子は離婚の立合人、田部に相談しに行くが、酔ったあげく彼に体を許した。数日後、柾子は矢沢に強引に迫られ、殺されそうな気がしたので、つい抱かれた、と言って広部のアパートに転がり込んだ。二人は一緒に暮すことにした。広部の机は翻訳をする柾子に占領され、抽出しに放り込んであった弥須子の形見の櫛も、今では柾子が自分の物のように使っていた。数日後、広部は矢沢に呼び出され、捺印した離婚届を渡された。その夜の明け方近く、柾子は、矢沢が家に帰って来たのはあけみを殺害したからだ、と広部に言った。その事を広部は信用しなかったが、柾子の勘は冴えていた……。 【キネマ旬報データベースより】
製作年 1975年
製作国 日本
配給 東京映画
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